2025年4月18日(金)

World Energy Watch

2025年4月14日

 欧州で高まる安全保障への危機感に、世界で進行する防衛分野での米国離れが相まって、仏製武器の重要性が高まっている。実際、対米関係の冷え込みを背景に、カナダやポルトガルは米製F-35戦闘機の購入計画の見直しに踏み切った。

 この動きに素早く反応するように、ラファール戦闘機を製造する仏ダッソー・アビアシオン社は、カナダ・ポルトガルにラファール戦闘機を提供できることを強調し、商機を狙っている。

日本への視座

 フランスの軍事産業の動きは、日本も学ぶべき点がある。日本は日米同盟に基づき、米製武器に依存する状態に長年置かれている。しかし、トランプ政権が日米安全保障条約の現状に納得していない点を踏まえると、米欧関係のように、信頼関係も揺らぎかねない。

 日本は日米同盟を基軸にしつつも、より自立的な防衛政策を確立する必要があるだろう。その際、安全保障上の協力パートナー国を多角化しつつ、自国でも武器を生産・調達できる体制を構築することが求められる。

 次期戦闘機については、日本は英国およびイタリアと共同開発を進めている。フランスの例に鑑みると、大規模投資を必要とする軍事産業を、防衛強化の手段と捉えるとともに、国家の成長産業として育成していくことも大事である。そのためには、日英伊の次期戦闘機の第三国への輸出も十分に考慮される点である。

 戦闘機の輸出市場では、すでに米国やロシア、フランスが先行しているため、日英伊が次世代戦闘機の輸出先を見いだすことは、一筋縄ではいかない。ただ、日本と長年の石油取引を通じて良好な関係を維持してきた中東産油国や、インド太平洋地域でのパートナー国であるインドおよび豪州と、安全保障協力を定期的に促進し、関係強化を図ることは、販路の確保につながる道筋となるだろう。

 

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