2025年12月6日(土)

大阪 自由都市を支える“民の力”

2025年4月19日

 重建懐徳堂の跡地は貸し会議室などが入る「マイドームおおさか」となっており、その向かいに宮川さんが営む「哲学cafe懐徳堂」がある。

哲学cafe懐徳堂は心地良い知の空間だ

人としても賢かった大坂商人に
私たちが学べること

 本当の意味で賢いのは、私たちではなく、昔の人たちだと宮川さんは言う。

 「特に大坂商人たちは、新しい貨幣経済という現実にどう対処していくべきか考える素晴らしい知恵を持っていました。そして、町で問題が起きると町人たちが主体的に自分たちでなんとかしようという風土があった。みんなで考えて話し合う〝場〟を大切にしていたのです。人は過去からしか学べません。先人たちが、どう生きてきたかを知り、その上で、私たちはこれからの時代、幸せになるにはどうしていくべきか、『お金=力』になってしまった時代をどう変えていくべきか、そうした根本的なことをみんなで一緒に考えていきたいですね」

 宮川さんはこのcafeで、定期的に読書会や古典を読む会を開催している。「ネットでつながることもいいのですが、やっぱりリアルが一番です」。常連客が数人集まって共に考える様子はまるで〝現代の懐徳堂〟である。

 「第二懐徳堂を開きたいと言う常連客もいます。大坂商人の心意気をこれからも後世に伝えていきたいですね」

Facebookでフォロー Xでフォロー メルマガに登録
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。
Wedge 2025年5月号より
やっぱ好きやねん! 大阪 自由都市を支える〝民の力〟
やっぱ好きやねん! 大阪 自由都市を支える〝民の力〟

いよいよ開幕する「大阪・関西万博2025」。大阪での万博の開催は、1970年以来、実に55年ぶりとなる。この間、東京一極集中が続き、日本の停滞とともに勢いが失われていった。そんな大阪を盛り上げようとする「熱気」や「動き」がいま、まちのあちこちで生まれている。支えているのは、大阪独自の〝民の力〟やそれらを受け入れる〝自由さ〟だ。大阪の隆盛に奮闘している人々の想いから、日本の第二都市であり、自由都市であるこれからの大阪のあり方を考えたい。


新着記事

»もっと見る