日米関係の〝時代の変化〟
トランプ大統領は16年、1期目の選挙運動中から、日本の在日米軍駐留経費が「なぜ100%ではないのだ」などと不満を表明してきた。最近も関税引き上げ問題に関連して「日本とはうまくやっているが、われわれは彼らを守るにもかかわらず、日本はわれわれを防護する必要はない」(4月10日、ホワイトハウスで)と持論を展開した。
日本が基地を提供、米軍が防衛義務を負うというのは日米安保条約の基本であり、日本はすでに集団的自衛権行使容認にも踏み切っている。駐留米軍経費についても25年(令和7年)度予算で2200億円を計上、負担する予定だ。
それを知ってのうえか、トランプ氏が不当な日本批判を繰り返せば、米国、安保条約に対する日本国民の不信、不満を再燃させ、同盟は危機に陥る。
アーミテージ氏の現役時代、日米関係は「黄金時代」といわれ、アメリカの政官界、学界、メディにも知日派が数多くいた。現在はといえば、シンクタンク、学界からは日本専門家がリタイアなどで相次いで姿を消し、その後新しい世代の台頭に至っていない。
トランプ政権の厳しい対日政策が続く限り、日本としてもアメリカ以外の国、東南アジア、豪州などとの関係強化を迫られ同盟は変質を余儀なくされる。アーミテージ氏の死去は、時代の変化の残念な象徴ともいうべきだろう。
