分からないことより分かることに対応すべき
何が起きるかもわからず、何をしたら良いかも分からず、ショックが大きいことだけが分かっていれば、一律の給付金や減税はそう悪いことではないと筆者は思う。特定産業への補助金で産業構造の転換を遅らすよりも良いだろう。
ただ、今後必要だと分かっているものに、この際、より多く支出するのも悪くない。支出増額の必要が明確なのは、防衛整備品の生産と老巧化したインフラの整備だ。
防衛整備品の増産は、トランプ関税に苦しめられる製造業への助けとなる。ただし、防衛整備品は、国産と同盟国、友好国からの輸入品と国産品とのコストを比較し、ウクライナ戦争の教訓を生かした装備に集中すべきだ。
インフラについては、分散したすべての地域のインフラ整備は無理と諦めて、限界を認識すべきだ。その上で、必要なインフラの立て直しが必要だ。
また、自国の戦闘機やミサイルは、飛んでいる時ではなく、陸上にある時にもっとも脆弱であり、敵の攻撃から守る施設が必要だ。トンネルやコンクリートで守るのだから、これは公共事業と変わらない。過大な既存の公共事業を減らして、これに当てれば良いのではないか。
起きることは需要ショック
トランプ関税の影響がどうなるかはまだ分からない。関税自体がどうなるのか分からないのだから、どう対応すれば良いのかが分かるはずがない。しかし、影響が需要ショックであることは確かだから、需要ショック対策の準備はしておいた方が良い。
ショックを受ける産業に個別に対応するより、減税や給付金などの一般的な対応が望ましい理由もある。また、軍備の増強、老巧インフラの立て直しなど、どうせ必要なことを早めに進めるという方策もある。
