レビットやヴァンスと正反対
注目を嫌い裏方に徹する
選挙の夜、トランプにマイクを向けられ、スピーチを拒否したシーンが印象的だったように、ワイルズは注目されることを異常に嫌い、裏方に徹することを好む。その控えめな態度の裏で実際にメスを振るっているのが、ワイルズである。本連載の初回(本誌25年2月号)に取り上げたキャロライン・レビットホワイトハウス報道官やJ・D・ヴァンス副大統領とは正反対だ。
トランプ人事には物議を醸しそうな人物がいるが、ワイルズは全く心配していない。例えば、女性に性的暴行をした疑惑があるピート・ヘグセス国防長官や、反ワクチンやワクチンと自閉症を結び付ける陰謀論を信じているロバート・ケネディ・ジュニア保健福祉省(HHS)長官は、承認されるのが不思議な人物だ。ワイルズはそのような人を〈現状を変えることができる人物〉として評価しているようだ。
トランプが脱線しそうになると、それを戻すのがワイルズの重要な役割だ。政治に特化したニュースメディア・ポリティコは〈ワイルズはトランプの機能不全に陥った「political universe(政治の世界)」を組織的なものに変えた〉と高く評している。トランプが唯一頭の上がらない人物が、ワイルズかもしれない。
トランプの最側近であるワイルズと強固な信頼関係を結ぶことができるか否か─。日本政府にとって重要な〝宿題〟になるだろう。
