ワシントンで最もパワフルな女性といえば、大統領首席補佐官(Chief of Staff)に起用されたスーザン・ワイルズ(67歳)であることは論を俟たない。

彼女は今回の大統領選挙で選挙対策本部長として選挙戦全体を指揮した。首席補佐官はホワイトハウスで政府内の調整や議会への対応、大統領のスケジュール管理などを担う政権の要で、女性が起用されるのは初めてである。
第一次トランプ政権では、大統領首席補佐官は事実上の更迭や辞任が相次ぎ、最終的には4人が務めたが、冷静な性格からトランプに「Ice Maiden(氷の乙女)」と呼ばれているワイルズなら4年間務めあげるだろうと言われている。ワイルズとともに大統領選を運営したクリス・ラシヴィータは、「トランプが1日の初めに最初に話したのはスージー(スーザン・ワイルズのこと)で、夜に最後に話したのもスージーだった。それだけで信頼のレベルや居心地の良さの度合いが分かる」と語る。ワイルズはトランプが最も信頼している人であると言っても過言ではない。
生まれはフロリダ州南部に位置し、アリゲーターの町として知られるレイクシティー。父親のパット・サマーオールはアメリカンフットボールの選手で、引退後にスポーツ・ブロードキャスターとしてキャリアをスタートさせてから、初めて大金が舞い込むようになったという。ワイルズと2人の弟は、コネチカット州スタンフォードの大きな家に引っ越し、その後ニュージャージー州サドルリバーに移った。
メリーランド大学への進学後、父親のニューヨーク・ジャイアンツ時代の親友の一人だったジャック・ケンプ議員のスタッフとして働いた。それが彼女の政界との関わりの嚆矢となるが、その後レーガン陣営の選挙運動にも加わった。