さらに、現地での案内マップの入手に関する混乱も改善された。開幕当初、紙の地図が200円で販売されていたが、その購入に長蛇の列ができるなどの問題が発生した。現在は、公式ウェブサイト上で無料の印刷用マップが提供されており、来場者は自宅で事前に印刷して持参できるようになっている。これにより現地での待ち時間や混雑の軽減が図られている。
入場チケットに関しても、QRコードの提示に手間取る来場者が見られたことから、公式に「QRコードは事前にスマートフォンに保存、または紙に印刷して持参するように」とのアナウンスがなされている。特に東ゲート付近では通信状況が不安定になることもあるため、事前の準備が重要視されている。当たり前のようだが、このような国際的大規模イベントでもこうした改善ループを比較的短期間に回すことは可能なのである。
学びや感動を伴う観光
地方圏においては、従来の観光資源に加え、「物語」や「体験」、「共感性」といった新たな軸で観光を再構築する必要がある。万博で見られたように、戦争や環境問題、幸福度、文化継承など、人間社会の根幹に関わるテーマを取り上げることで、単なる娯楽ではなく、学びや感動を伴う観光が形成されうる。地域資源に内在する物語を掘り起こし、映像や音響、香り、味といった要素を組み合わせた総合的な演出を通じて、訪問者に深い体験を提供することが求められている。
観光を通じてその地域の価値や哲学を「感じてもらう」ための手法を磨くこと、それが万博の示唆する次なる観光戦略の核となるのである。