共感から生まれた
まちの魅力
水代 プロジェクト実現に向けて以前、泉さんたちが行った実証実験を見せてもらったことがあります。僕も自転車の駐輪台数、荷さばきなどを実験します。でも、せっかく道路が止まっているので、マルシェやナイトシネマなどをしてみたくなる。でも、泉さんは、本当に実験しかしない。それは「道路が止まった未来で、いくらでもできるでしょう」というスタンスが衝撃でした。
泉 しっかりとデータを取り、分析することで、市や警察や地域への説得材料にもなります。結果的に周辺の交通渋滞が起こらず、荷さばきも場所や時間は制限されるけど、思っているほど不便にはならないシミュレーションができました。「駅前を広場にして歩行者天国にする」というプロジェクトが実現すれば、必ずや、地域の人たちにとっても、利用者にとっても、より良い未来が待っていることは明らかです。だからこそ、社会実験の時は賑わいイベントの開催ではなく、交通再編や荷さばきの検証に徹したんです。
水代 本当に、僕の考えが浅はかでした。泉さんの考え方、本気度から学ぶべきことは多いですね。
泉 なんば駅前も「すごくいい風景だね」と言われるようになりました。プロジェクトの実現には、自ら動き、また協力してくれた様々な人たちがいます。「やっぱり、こうした空間を作ったほうがまちが活性化する」「まちの魅力が高まる」と皆さんが共感したからこそ実現できたのだと実感します。
水代 やがてそれは、その人たちの「日常」にも直結しますものね。日常を守るということがいかに大事なのか、泉さんと村上さんのお話を聞き、改めて感じた次第です。
また、まちづくりは、企業と地元、あるいは行政が胸襟を開いて話し合い、進めていくことが重要です。3者が組めれば本当に強い。これこそがまちづくりにとっての〝一丁目一番地〟だと言えますね。