2025年5月13日(火)

大阪 自由都市を支える“民の力”

2025年5月2日

共感から生まれた
まちの魅力

水代 プロジェクト実現に向けて以前、泉さんたちが行った実証実験を見せてもらったことがあります。僕も自転車の駐輪台数、荷さばきなどを実験します。でも、せっかく道路が止まっているので、マルシェやナイトシネマなどをしてみたくなる。でも、泉さんは、本当に実験しかしない。それは「道路が止まった未来で、いくらでもできるでしょう」というスタンスが衝撃でした。

 しっかりとデータを取り、分析することで、市や警察や地域への説得材料にもなります。結果的に周辺の交通渋滞が起こらず、荷さばきも場所や時間は制限されるけど、思っているほど不便にはならないシミュレーションができました。「駅前を広場にして歩行者天国にする」というプロジェクトが実現すれば、必ずや、地域の人たちにとっても、利用者にとっても、より良い未来が待っていることは明らかです。だからこそ、社会実験の時は賑わいイベントの開催ではなく、交通再編や荷さばきの検証に徹したんです。

水代 本当に、僕の考えが浅はかでした。泉さんの考え方、本気度から学ぶべきことは多いですね。

 なんば駅前も「すごくいい風景だね」と言われるようになりました。プロジェクトの実現には、自ら動き、また協力してくれた様々な人たちがいます。「やっぱり、こうした空間を作ったほうがまちが活性化する」「まちの魅力が高まる」と皆さんが共感したからこそ実現できたのだと実感します。

水代 やがてそれは、その人たちの「日常」にも直結しますものね。日常を守るということがいかに大事なのか、泉さんと村上さんのお話を聞き、改めて感じた次第です。

 また、まちづくりは、企業と地元、あるいは行政が胸襟を開いて話し合い、進めていくことが重要です。3者が組めれば本当に強い。これこそがまちづくりにとっての〝一丁目一番地〟だと言えますね。

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Wedge 2025年5月号より
やっぱ好きやねん! 大阪 自由都市を支える〝民の力〟
やっぱ好きやねん! 大阪 自由都市を支える〝民の力〟

いよいよ開幕する「大阪・関西万博2025」。大阪での万博の開催は、1970年以来、実に55年ぶりとなる。この間、東京一極集中が続き、日本の停滞とともに勢いが失われていった。そんな大阪を盛り上げようとする「熱気」や「動き」がいま、まちのあちこちで生まれている。支えているのは、大阪独自の〝民の力〟やそれらを受け入れる〝自由さ〟だ。大阪の隆盛に奮闘している人々の想いから、日本の第二都市であり、自由都市であるこれからの大阪のあり方を考えたい。


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