2025年12月5日(金)

大阪 自由都市を支える“民の力”

2025年5月4日

 「ただ、そこでは夏場40度にもなるような場所にビールが保管されており、店主に何度訴えても改善されませんでした。これでは、造り手と飲み手を幸せにすることはできないと思い、ビールを評価する『ビアジャッジ』の資格を女性最年少で取得して、起業することにしました。自分で流通を変えるしかないと思ったんです」

どの街にも気軽に立ち寄れるビールスポットを

 その後、谷さんのこだわりである「造り手が売りたい味」を届けることに協力してくれる輸入卸企業をみつけた。そして12年、クラフトビールに特化した酒屋兼ビアカフェ「CRAFT BEER BASE」をオープン。18年からビール醸造設備を導入しクラフトビールの試作を始めた。

谷さんのビールへの愛が感じられる

 「ブルワー(醸造元)には、サーバー(売り手)側はモノが言えない。『造っていないくせに文句を言うな』という風潮が強いように思います。これも変えていきたいですね」

 谷さんは「大阪でクラフトビールが文化として定着して、どこの街でも、どの駅でも思い立ったら立ち寄れるビールスポットがすぐに見つけられたらどんなに嬉しいか、素敵なことか」と、創業当初から「OSAKA CRAFT BEER MAP」を作成している。どこまでも深い〝ビール愛〟で、大阪のクラフトビールをけん引しているのだ。

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Wedge 2025年5月号より
やっぱ好きやねん! 大阪 自由都市を支える〝民の力〟
やっぱ好きやねん! 大阪 自由都市を支える〝民の力〟

いよいよ開幕する「大阪・関西万博2025」。大阪での万博の開催は、1970年以来、実に55年ぶりとなる。この間、東京一極集中が続き、日本の停滞とともに勢いが失われていった。そんな大阪を盛り上げようとする「熱気」や「動き」がいま、まちのあちこちで生まれている。支えているのは、大阪独自の〝民の力〟やそれらを受け入れる〝自由さ〟だ。大阪の隆盛に奮闘している人々の想いから、日本の第二都市であり、自由都市であるこれからの大阪のあり方を考えたい。


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