服部さんは大阪の魅力を「第二都市」という言葉で表現する。
「買う人の方が多いのが第一都市ですが、モノを作る人が少ない。第二都市の魅力は、モノを作る人と消費する人が均衡している。モノを作る人がいると、『これあんまり良くなかったよ』『全然つまらんかった』みたいに、様々な意見を身近に聞くことができます。モノづくりをブラッシュアップできる要因というのはそういう所にあるんだと思います。
厳しい目がまちの人を強くする
大阪では『それ、なんぼ?』とすぐにお金の話になったりしますが、結局〝目利き〟であることが、値段を決められる唯一の方法だと思います。つまり、主体者としてものを見ている。そこが、第二都市の面白さではないかなと思います。
目が厳しいということは、まちの人を強くする。また、作り手を専門領域だけにとどまらせず、多方面に越境する力を育てることにもつながる。だから大阪は『生かされてる』より、『生きてる』という感覚の人たちの方が多いように思います。逆に大都市の中心部は「生かされてる」と言われても、納得するのではないでしょうか。ものに溢れ、便利で快適なサービスがあり、一つの巨大なシステムの中で生活していると言えますから」
上下ではなく水平の関係性をつくるのに役立っているのが大阪弁でもあるという。「おおきに」「まいど」「ぼちぼちでんな」──。大阪では人と人の距離が近く、ハイコンテクストなコミュニケーションができるからこそ水平の関係性がつくりやすいとも言える。