ロシアで9日、第二次世界大戦のナチス・ドイツに勝利したことを祝う対独戦勝記念日を迎えた。ウクライナへの大規模侵攻を続ける「プーチンの戦争」の最中、ロシアとの友好を重視する中国やブラジルなど26カ国の外国首脳がモスクワを訪れ、赤の広場で実施された軍事パレードなどの記念式典に参列した。

今年は戦後80年の節目の年。2000年に大統領就任から今年で25年目となる「プーチン時代」では、2000年(戦勝55周年)から5年ごとに盛大なイベントが執り行われ、その度、モスクワに招待された外国首脳の顔ぶれが国際関係の構図を示してきた。今回の26カ国のほとんどは国連の対露非難決議などでも「反対」「棄権」に回る常連国で、ウクライナ侵略が一定の沈静化を迎える「戦後」の国際社会においても、西側諸国の外交路線とは一線を画し、ロシア擁護の立場を鮮明にする可能性が高い。
ロシアと〝良好〟な26カ国
プーチン大統領は9日の赤の広場での軍事パレードにあわせ、モスクワ時間の8日午前0時(日本時間同日午前6時)から11日午前0時まで72時間の停戦も一方的に決めたが、これは守られていないようだ。
ウクライナ軍参謀本部によると、初日の8日にはウクライナ領土内の前線で154回の戦闘が行われ、ロシア軍は830機のドローン(無人機)攻撃を行ったという。
プーチン大統領が指揮を執るウクライナ侵略は、対独戦勝記念日にモスクワを訪れる外国首脳の顔ぶれにも影響を及ぼしている。
大規模軍事作戦を開始した3カ月後の22年の式典では、ロシアへの非難が集まり、外国首脳の参加はゼロ。翌23年はベラルーシ、カザフスタンなど旧ソ連諸国の7か国にとどまったが、昨年24年には、旧ソ連諸国6カ国に加え、親露国のキューバ、ラオス、ギニアビサウの計9カ国の首脳となった。
戦後80周年になる今年は、26カ国の首脳がモスクワで一堂に会した。いずれの国々も親露国で、エネルギーや穀物・肥料の露からの輸出額が多かったり、国防には露製武器に依存している。