中国やブラジルはBRICSの一画。グローバルサウスの国々も多いのが特徴で、これまでも国連で、ウクライナを支援する西側民主主義国家が対露非難決議を提起すると、「反対」や「棄権」にまわってきた。
旧ソ連諸国からはカザフスタン、ウズベキスタン、キルギスなど7カ国の首脳が出席。領土紛争への抗議から昨年、参加しなかったアルメニアのパシニャン首相が訪問したが、一方でアゼルバイジャンのアリエフ大統領は訪れなかった。
アリエフ大統領サイドは国内行事を優先するとの理由を掲げたが、昨年12月にロシア軍の誤射が原因とされる、38人死亡のアゼルバイジャン航空機の墜落を巡る対立が二国間関係になおも尾を引いているとの見方が出ている。
習近平は「主賓」の位置づけ
アジアからは中国の習近平国家主席をはじめ、ベトナムの最高指導者トー・ラム共産党書記長、モンゴルのウフナー・フレルスフ大統領、ミャンマーで実権を握る軍のトップ、ミン・アウン・フライン司令官の4人の最高指導者がモスクワを訪れた。ラオスはトンルン・シスリット国家主席が出席する予定だったが、病気にかかったため、渡航をあきらめた。
ウクライナの大規模侵攻開始後、ロシアと中国の蜜月ぶりはさらに強化されており、事実上、中国からの物資が軍事面や人々の生活面を支える形に。今回、プーチン大統領は習主席を「主賓」と位置付け、ロシア国内でも大国・中国への歓迎ぶりが図抜けている。
モンゴルの首都ウランバートルには昨年9月、プーチン大統領が訪問している。オランダ・ハーグに本部を置く国際刑事裁判所(ICC)が23年3月に、ウクライナの子供たちをロシアに強制移送したとする戦争犯罪の疑いで逮捕状を出しており、モンゴルはICC加盟国にもかかわらず、事実上、この逮捕状を無視した経緯がある。
一方、ベトナムはICC加盟国ではないが、プーチン大統領が昨年6月にベトナム・ハノイを訪れ、親密ぶりを示していた。ベトナムはソ連時代からの親露国であり、今も軍備品は主にロシア製を使い、南シナ海での石油探査ではロシアの石油会社を頼りにしている。
ミャンマーの軍事政権は21年2月にクーデターで実権を握った後、欧米が非難を強める中で、ロシアとの関係を強化している。フライン司令官は今年3月にもモスクワを訪れており、その際、「(ウクライナとの戦争の)勝利はまもなくロシアのものとなると確信している」と述べている。
EUからも参加者が
欧州からは欧州連合(EU)のスロバキア、EU加盟候補国のセルビア、ボスニア・ヘルツェゴビナの3カ国首脳が参列に加わった。スロバキアはロシア産ガスに依存。ゼレンスキー政権はウクライナ経由の欧州向けパイプライン輸送停止の措置を取り、スロバキアは年間5億ユーロ(約800億円)の損害を受けるとして、ウクライナとの対立を深めている。
一方、セルビア、ボスニア・ヘルツェゴビナはEUがパレードへの出席を控えるよう要請したが、これを振り切り、モスクワ訪問を強行した。
モスクワで顔をそろえたスロバキアのロベルト・フィツォ首相とセルビアのアレクサンダル・ブチッチ大統領はわざわざクレムリンを背景に動画を取り、「セルビア人とスロバキア人は永遠の兄弟だ」と連携を誓うパフォーマンスを見せている。EU側の立場に背を向けた形になり、今後の動きが注目される。
