モスクワで対ドイツ戦勝80周年記念式典が5月9日に開催され、ロシアに近い約25カ国の首脳が参集した。なかでもプーチン大統領にとって最大の賓客は、「限界のない戦略的パートナー」と公言してはばからない、事実上の同盟関係にある中国の習近平国家主席であった。

プーチン大統領(右)と習近平国家主席はロシアの戦勝記念日の式典に並んで参加した(Mikhail Korytov/Photo host agency RIA Novosti/AP/アフロ)
これを象徴するように、式典会場で両者は親しく並んでいる。先立つ8日には首脳会談が行われたが、その席でプーチンは習近平を「親愛なる友」と呼び、対して習近平は「古き良き友」と応じ、その関係を世界に向けて見せつけた。
この首脳会談で、習近平は「国際社会が単一主義や覇権主義という逆流に直面する中、中国とロシアは連携・協力し、世界大国として、そして国連安保理常任理事国としての特殊な責任を負っている」「平等で秩序ある国際社会の多極化と、普遍的に有益である経済のグローバル化を、両国は連携して進めなければならない」と強調した。
平素の中露の行動を考えれば実に白々しい主張であるが、プーチンは「戦略的相互作用から、両国は友好強化・協力増進という道を選択した」「両国外交は国際的な不安定性が高まる中でも最も安定的」と応じた。
そして、「新時代の中国―ロシア包括的戦略パートナーシップの進展」と銘打たれた共同声明を発表し、国際秩序や国際法体系、対ウクライナ・台湾を含む個別の外交イシュー、経済協力関係などについて言及した。さらに、合同演習・共同警戒行動の拡大といった軍事交流、エネルギー開発や貿易の促進など、多方面での協力強化に向けた20件以上の協定を締結している。それらは中露による実質的な同盟関係の結束と強化を改めて確認するものであった。