2025年12月6日(土)

教養としての中東情勢

2025年5月22日

トランプ一族の中東ビジネスに批判

 ガザ戦争やイスラエルにトランプ大統領の関心が薄まったもう1つの理由は「戦争よりもビジネス」を優先したためだろう。

 大統領は中東歴訪の最初の訪問国サウジアラビアで総額6000億ドル(約88兆円)、2番目の訪問国カタールでは2435億ドル(約35兆円)、最後の訪問国アラブ首長国連邦(UAE)では2000億ドル(約29兆円)もの経済協力で合意した。ホワイトハウスは最終的な総額は2兆ドルにも達するとしている。

 この中東歴訪の影で進んでいるのがトランプ・オーガニゼーションを中心としたトランプ氏のファミリービジネスだ。そのレベルはもはや「政商」を超え、大統領の倫理規定違反や「利益相反」に相当すると指摘されている。トランプ・オーガニゼーションを率いる大統領の次男エリック・トランプ氏は「父親とは関係のない息子たちが行っている」と利益相反を否定している。

 米ニューヨーク・タイムズによると、トランプ・オーガニゼーションのビジネスは高級ホテルの建設、ゴルフコースなどのリゾート開発で、サウジアラビア、UAE、カタール、オマーンなど湾岸諸国一帯で進んでいる。例えば、UAEのドバイでは80階建て10億ドルの「トランプ・インターナショナル・ホテル」、サウジのジッダでも「トランプ・タワー」の建設契約がまとまった。

 オマーンでは、ゴルフコースを含めた高級リゾート施設が開発され、豪華な別荘が1300万ドルで売られている。顧客はロシア、イラン、インドなどの大金持ちだという。しかし、大統領の影響力の強い地域での一族のビジネスには「前例がない」との批判が強い。

Facebookでフォロー Xでフォロー メルマガに登録
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。

新着記事

»もっと見る