首相経験者らしい慎重な言動という好意的な見方もあるが、やはり選挙態勢が整わない中、148議席、野党第一党の会派勢力を失いたくないというのがホンネではないのか。
維新の会が提唱している野党間予備選挙の構想も違和感がある。参院選での「野党勢力結集を」という方針は理解できる。すでに、岐阜、和歌山で立憲民主党との間で一本化が実現したというが、候補者は本来、政党が独自に擁立して有権者の支持を競うべきものであり、政治理念、綱領、政策が異なる組織同士で予備選を行うのは、人気だけに頼ることになり、政党の存在が弱体化しないか。
維新の会内部にも、予備選を画期的と評価しながら「事前運動や人気投票にならないよう注意すべきだ」(守島正選対本部長代行のYouTube)という声もある。
進次郎農水相は〝人寄せパンダ〟か
コメの値上がりに悩む国民の間では今、小泉進次郎農水相の人気がうなぎ上りだ。政府備蓄米の競争入札を随意契約に変更するなどの方針が支持されているらしい。価格が安定した場合、進次郎氏の功績として評価されるべきだが、しっくりしない印象がぬぐえない。
早い時期から随意契約の必要性を指摘する声はあったのだから、なぜいままでできなかったのか。国民の主食確保という極めて重要な問題が、一閣僚の決断を待たなければ解決に進まなかったのは実に不可解だ。
進次郎氏をプレーアップしその人気にあやかって参院選を乗り切ろうという思惑との見方がなされるのもやむをえまい。
一時取りざたされた衆参同日選の可能性は少なくなったようだが、参院選、東京都議選についてさまざまな予測がなされている。
与党で過半数を確保することができれば、石破首相の続投という展開にもなるだろう。そうなれば進次郎氏は〝人寄せパンダ〟になってしまうもしれない。それこそ人気取りに終始する永田町政治の極致というべきだ。
与野党を問わず、時に大きな鉄槌を下す有権者にとっても、与野党とも信頼に足らずという今回の選挙では難しい判断になろう。既成大政党への嫌気から、昨年の総選挙での国民民主党のように〝伏兵〟が登場するかもしれない。
東京都議選は6月22日、参院選は7月20日投開票が取りざたされている。
