税金が増えたからといって、与党の選挙対策に充てる〝私物化〟は許されず、減税、国債償還、福祉財源への配分など、どれが最も国家・国民のためになるかを真剣に検討すべきだ。
高額所得者も、収入の少ない人も一律に2万円(18歳以下の子どもと住民税非課税世帯の大人には2万円上積み)というが、 新人議員にポケットマネーから10万円の商品券を配る金持ちの石破首相自身にも支給されるなら、もはやナンセンス喜劇、公職選挙法違反で国告発したいと思うのは筆者ひとりではあるまい。
候補者おろし、玉木氏自身の無反省が原因?
その玉木代表、石破首相への威勢のいい追及と打って変わって見苦しかったのは、参院選に担ぎ出そうとした山尾志桜里元代議士の公認取り消しだった。
経過はすでに報道されており、原因となった山尾氏の既婚男性との交際疑惑など過去の行動について、その善悪を論じる必要はなかろう。SNSだけでなく、身内である国民民主党からも公認に批判が出たのは当然だった。
山尾氏が出馬にこだわり続けたのは想像に難くないが、玉木氏が世論によって追いつめられるまで決断できなかったのは、氏自身、女性との不適切交際で党代表の役職停止の処分を受けながら、いまだに反省がないからだろう。
国民民主党は昨年秋の総選挙で4倍増の28議席を獲得、今回の参院選でも当初、躍進が期待されていた。このところ各メディ調査での人気に陰りが出はじめてきており、焦りが背景にあったというのも正しい見方だろう。
及び腰の立憲民主党
玉木氏同様、それ以上に責められるべきは野党第一党、立憲民主党の野田佳彦代表だろう。
かつて内閣総理大臣の印綬をおびたにしては、言動が軽く、しかも品位に欠ける表現を時に好むのが気になる。それには目をつぶるとして、今国会での内閣不信任決議案をめぐる及び腰は残念だった。
年頭の会見では、「従来のように竹光をふるっている場合ではない」とぶちあげ、石破氏の商品券問題が明るみに出た時には、「首相だけにとどまらない可能性がある。自民党の政治文化なら徹底的に追及しなければならない。いつでも(解散される)可能性が出てきた」(2025年3月16日、青森市で)と舌鋒は自民党のあり方にまで及んだ。
その後は一転、いつの間にかうやむやになったし、健康保険年金改革でも焦点だった基礎年金底上げ問題は解決を先送りする形で自民党と妥協。米国の関税問題が浮上したため、「国難という状況で(退陣や衆院解散で)政治空白を作らせることが責任ある態度かどうか」(4月23日のラジオ番組)と慎重姿勢をみせはじめた。
