2025年7月13日(日)

Wedge REPORT

2025年6月17日

 「対決より解決」。このスローガンを掲げ、近年支持を着実に伸ばし続けてきた国民民主党が、急速な支持者離れを招いている。(読売新聞「国民民主、支持率下落に危機感…山尾氏ら擁立にSNS「変な流れになってきた」) 

国民民主党の山尾志桜里氏への「公認取り消し」は党の信頼を下げるものとなった(Pasya/アフロ)

 きっかけとなったのは、夏の参議院選挙に向けた候補者擁立を巡る一連の騒動だ。そこで浮き彫りになったのは、単なる候補者の去就問題のみに留まらない。

 (1)不透明な意思決定プロセス、(2)自らの発言への無責任さ(3)候補者擁立への不十分な説明──党のガバナンスや存在意義が問われる事態にまで発展している。

不透明な意思決定プロセス

 2025年5月14日、国民民主党は元衆院議員の山尾(本名・菅野)志桜里氏や前参院議員の須藤元気氏ら議員経験者4人を参院選比例選に擁立すると突如発表した。直後から、SNS(X)では国民民主党への大きな疑問、失望、批判の声が起こり、党の意志決定プロセスに対する説明、山尾氏や須藤氏の公認・擁立撤回を求める声が数多く見られた。

 25年5月14~19日に投稿された「国民民主」を含む5万3722ポストを分析した鳥海不二夫東京大学大学院工学系研究科教授は「候補者擁立という観点から行くと須藤元気氏の擁立が国民民主党支持者の支持率を下げる効果が大きかった可能性がある」と指摘している。

 須藤氏は、これまでワクチンに疑問を呈する発言を繰り返してきたことが批判された。同氏は「子どもへのワクチン接種とワクチン後遺症を考える超党派議員連盟」に参加し、22年9月には立憲民主党の川田龍平議員、参政党神谷宗幣議員と共に、5~11歳のワクチン接種に対する「努力義務」を撤回する提言を厚生労働省に提出した。こうした発信は、擁立の前月、4月5日にも見られている。

須藤氏は今年4月にも、ワクチンに疑義を呈する発信をSNSでしている(須藤元気氏のXより)

 須藤氏は国民民主党公認が発表された5月14日、SNS(X)で「ワクチンなど医療分野について『副反応への懸念』を発信していましたが、ワクチンの重症化予防効果等を含めて科学的根拠を否定する立場ではありません。党の『科学的知見と透明性重視』の方針に従います。その決意の証として、国民民主党から提示された確認書にサインして、党に提出しました。党として決定した事項に反する行動は取りません」と発信した。


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