2025年12月5日(金)

Wedge REPORT

2025年6月17日

 一方で同じ頃、政府側は小泉進次郎農水相を中心にSNS(X)で備蓄米の食味検査データを提示し、品質の高さを訴えることで偏見や風評払拭に努めた。他の自民党議員も実際に備蓄米を食べて美味しさのPRをしていた。

 自身の発言に対する批判に対し「ルールを説明しただけ」「違う印象を受けた人がいた」との自己弁護に終始し、後始末を政府に丸投げした玉木氏とはあまりにも対照的だ。国民民主党が言う「対決より解決」とは、対決相手に解決を丸投げすることなのだろうか。

候補者擁立への不十分な説明

 3点目に挙げる問題は、候補者擁立に対する説明不足だ。

 国民民主党は、山尾志桜里氏の公認・擁立を、出馬会見を行った翌11日になって突如取りやめた。

 山尾氏擁立を取りやめた情報は、党の公式会見より先に報道で広がり、玉木代表は翌12日になってようやく、SNS(X)で山尾氏の公認取り消しについて自ら発信した。

 山尾氏の出馬会見では、過去の不倫スキャンダルが再び取り沙汰された。しかし、そうした批判は擁立前から充分予想されたはずだ。それでもなお「山尾さんは、憲法改正議論や人権外交の分野をはじめ高い政策能力を持ち、この国の未来に貢献したいという信念をお持ちでした。こうした能力や姿勢に期待し、一度は党としても公認を内定しました」と擁立していたのではなかったのか。

 ところが、玉木氏は山尾氏の出馬会見の翌日になって「しかし、現時点で、有権者をはじめ、党内外からの理解と信頼を十分に得られているとは言い難く、最終的に正式な公認への移行を見送ることとしました」と語った。

山尾氏の公認取り消しについて、玉木氏はXでの説明のみにとどまった(玉木雄一郎氏のXより)

 「党内外から理解と信頼を得られていない」のは、果たして山尾氏本人だけの責任なのか。そもそも玉木代表はじめ国民民主党は、擁立した候補の理解と信頼を得るために充分に説明をしてきたと言えるのか。

 党として擁立しながら世論を説得する努力を怠り、当然向けられる批判に場当たり的に右往左往し、山尾氏ばかりを矢面に立たせ一切の責任を押し付けて梯子を外す。

 これでは、山尾氏の知名度を利用しようとしたが、利用価値が無いと見るや使い棄てたとさえ見做されかねない。降ろすにしても、党として正式に会見を開き説明するなど通すべき筋と礼があったはずだ。党のガバナンスと倫理観を強く問われて然るべきだ。


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