マンション高騰の主因は世帯数の急増
東京都都市整備局が毎年発表している『東京の土地』によると、2023年の新築分譲マンション75平方メートル(㎡)当たりの平均価格(不動産経済研究所資料から作成)は、区部では1億2953万円と、勤労者世帯の平均年収に対して15倍となった。2000年ころには、おおむね平均年収の7倍程度で推移していたし、89年のバブル最盛期には平均年収の12倍程度だったのでそれを超える、いわばマンションバブルの状況を呈している。
これに対して自民党は、東京都のスマートフォン向け公式アプリ「東京アプリ」を活用し、子育て世帯を対象に家賃補助として月2万ポイント、住宅購入の補助として100万ポイントを支給するほか、賃上げや住居手当を支給する中小企業の取り組みを後押しするとしている。
これらは共産党の月1万円の家賃補助、賃上げした中小企業に1人12万円助成などの政策と大して違わない。価格の異常な高騰に対しては対症療法的な政策ではなく根治療法が必要ではないか。
東京のマンション価格が高騰した原因は建築費等のコストアップもさることながら、世帯と人口の増加という需要圧力である。東京都の人口は25年5月現在で1425万人と過去最高を記録している。日本の人口は08年をピークに減り続けているが東京都の人口はコロナ禍の時期の停滞を除いて一貫して増え続けている。
特に問題なのは世帯数の増加である。東京都住民基本台帳統計によると、平成の30年間で、人口が約1170万人から約1360万人へと16.6%増えているのに対して世帯数は約480世帯から約710万世帯へと47.9%も増えている。
未婚・非婚・晩婚などの要因もあって世帯の細分化が急速に進んでいるのである。多少はシェアハウスや寮などの居住形態はあってもこれだけ急速に世帯数が増えればマンション需要が増えるのは当然である。
25年1月の東京区部の人口973万552人に対して世帯数は552万7395世帯だから1世帯あたり平均人数は1.7人と2人を割っている。別の統計で見ても東京区部では単身世帯の数は複数人世帯数を大幅に上回っている。人口増による住宅需要の増加に世帯数の急増が拍車をかけている。
