2025年7月16日(水)

都市vs地方 

2025年6月27日

 今回の都議選で自民党は127議席のうち21議席しか取れず、国会に議席を持たないローカル政党である都民ファーストの会の31議席に大きく及ばなかった。都議会自民党の歴史では最少の議席数である。

自民党は都議選で「過去最低」の議席数となった(時事)

 自民党の敗因は政治資金の不記載問題や石破茂内閣の不人気などいろいろあるが、最大の問題は東京ならではの大都市政策を鮮明に打ち出さなかったところにあると思う。

大都市・東京の争点

 東京は世界に冠たる空港、鉄道、道路のネットワークを構築して今も発展し続けている。東京都という行政区域にとどまらず、関東平野という大阪平野の約11倍の面積をもつ日本で唯一の広大な平地を活用して直径100キロメートル(㎞)の圏央道を機軸とした都市構造を近隣自治体・政府と協力して作り上げた。

 世界有数の交通ネットワークによって高度情報化時代にますます盛んになっている人の流れ・物の流れをほぼ円滑に捌いている。しかし今、住宅価格の異常な高騰が東京の都市活動のネックとなっている。

 かつて1964年の東京五輪の時は水が東京の成長限界と言われたが、武蔵水路の建設によって利根川の水を使えるようになりそれは解消された。その後、道路交通の成長限界があったが山手トンネルの建設や圏央道(現在、約90%完成)によって凌いだ。空港の成長限界は羽田空港D滑走路の建設と国際化によって乗り越えた。しかし住宅価格高騰は、乗り越えることが不可能かと思うほど異常な状況となっている。

 不動産経済研究所が6月23日に発表した5月分の新築分譲マンション市場動向によると、東京23区のマンション価格は平均1億4000万円余と前年同月比で36.1 %も上昇している。もはや一般の勤労者が手の届かない金額である。

 都議選における最大の争点のひとつは物価対策だったが、他県は別として東京の物価対策の中心は住宅対策ではないか。中古マンション価格も家賃も上がっている。実際、自民党も含めて各党とも物価対策の中に住宅購入費や家賃補助を掲げていた。

 しかしこれらはいずれも当面の対策であって、基本的な大都市政策として東京への人口集中をどうするのか、これからも人口を増やすのか、増やすとしたら住宅をどこにどう増やすのか、という議論ができるのは国政の第一党である自民党ではなかったのか。


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