2025年12月6日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年7月9日

 トランプ政権の登場という如何ともし難い事情のために、西側の安全保障のあり方、世界貿易の問題への対応など、幾つもの重要課題について、G7としての一致した立場・行動を打ち出し得なかった。工夫は認められるが、G7が現下の重要課題への対応に立ち向かうことをしなかったという事実は覆い隠し得ない。

 トランプは途中で帰国したが、その理由がイスラエル・イラン紛争への対応だというのなら、他のG7首脳の意見を求めることをしないまでも、現下の情勢と自身の対応振りを可能な範囲で内々開陳するくらいのことをするのが礼儀というものであろう。それをしないのは、トランプがG7は自身の行動を制約しかねない煩わしい存在と考えており、G7に価値を見出していないからだと思わざるを得ない。

今は生き残りを賭けるしかない

 上記の論説が最後に書いているように、このままだとG7は少なくともこの先3年間、目的もなく漂流する危険がある。G7は実際問題としてG6になるのかも知れない。

 しかし、G6に組織替えするオプションはない。3年を過ぎれば、G7は再び活力を取り戻すチャンスがあるかも知れない。

 ロシアの侵略に対し一致してウクライナを支援したようにG7はその存在意義を失っていない。それまでの間は、カナナスキスでカナダが試みたように、野心を大幅に縮小した運営に生き残りを賭けるしかないのであろう。

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