2022年12月4日(日)

科学で斬るスポーツ

2014年5月7日

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玉村 治 (たまむら・おさむ)

スポーツ科学ジャーナリスト、科学ジャーナリスト

小学校より野球をはじめ、大学では投手として活躍。スポーツを科学的に分析することを得意とし、バンクーバー、ロンドン五輪、ワールドカップサッカーなどで取材。

五輪選手らに提供されたアミノバイタルGOLD

 日本勢が史上最多のメダルを獲得したロンドン五輪で、味の素は、日本選手団24競技、293人に対しアミノバイタルGOLDを、約10万本提供した。その後、103選手を対象にしたアンケートで91%が「つらさが次の日に残らなかった」「しっかりリカバーできた」などと回答。

 ソチ五輪でも羽生選手をはじめ、日本選手団に供給された。

 栗原さんは、「羽生選手は、食事の重要性を認識した。こうした食事・栄養の改善で、過去の大会の中で、一番よいコンディションで本番を迎えられたと話している。普段通りにすこぶる元気だったのが金メダルを獲得できた一因でもある」と強調する。金メダルの裏には、こうした努力があったということだ。

 同じくフィギュア男子の高橋大輔選手も、昨年11月にけがをして五輪出場が危ぶまれたが、筋力を強化するために味の素のサポートを受けて、アミノ酸を多くとり、リハビリした。本番では6位に終わったが、満足そうな笑顔が印象的だった。

アスリートへの栄養指導が
本格化したのは20年以上前

 アスリートに対するこうした食事、栄養指導が本格的に始まったのは、今から20年以上前の1990年代前後。日本選手がなかなか五輪や海外の大会で、成績が残せなかったことから、メンタル強化などと合わせ、コンディショニング改善の一環として本格化した。当時、選手らは遠征先のパン食、脂質の多い食事に頼っていたため、炭水化物を中心とした総エネルギー量、たんぱく質が不足していた。エネルギー代謝に不可欠なビタミンB1、B2などのミネラル摂取も十分ではなかったため、常にバテ気味だったと言われている。結果がでない一因だった。

 1992年のアルベールビル冬季五輪(フランス)のころから、日本からお米、うどん、和食などを持ち込むことで、食生活が安定し、本番で実力が発揮できるようになったと言われる。

 こうした栄養指導は競技団体によって温度差があった。早くから取り組んだ団体の一つが、日本陸上競技連盟。陸連では96年のアトランタ五輪前後から高地トレーニングに向けた栄養指導を始めている。高知トレーニングは、標高2000m前後の高地で一定期間トレーニングすることで、赤血球を増やし、酸素運搬能力を高めるのが狙いだ。酸素が薄いため、体は赤血球を増やして効率よく酸素を吸収しようとする。赤血球は鉄分でできているので、増産には鉄分が必要になってくる。この際、血中と肝臓に貯蔵されている鉄分が使われるが、急速に体内の鉄分が減少すると貧血を起こし、疲れやすくなる。

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