2025年12月5日(金)

「永田町政治」を考える

2025年7月22日

 第2次世界大戦末期の1945年、英首相、ウィンストン・チャーチルは、戦後処理を話し合うポツダム会談に野党労働党のアトリー党首を同行、一連の会議に同席させた。

 来るべき総選挙で敗北した場合への配慮からだったといわれるが、実際に同年の7月の選挙で保守党が敗北したのをうけて、アトリー新首相が直ちに英国代表となり会議はスムースに進展した。これが「国難」に向き合う与野党協力のあるべき姿だろう。

 国柄も違うし時代も異なる。しかし、国難への対峙の仕方は、国境、時代を超えて不変だろう。分断と対立、団結力の欠如した国に明るい将来はない。

求心力を失いつつある政治

 参院選投票日前日の7月19日、東京・蒲田のJR蒲田駅前。選挙運動終了間際の午後7時40分、自民党総裁の石破首相が、自党候補を従えて選挙カー上から有権者に訴えかけた。

 2000人はいたかと思われる支持者、聴衆が耳を傾けたが、マイクの音響が不十分で訴えがまったく伝わってこない。あきらめた有権者は演説の途中で一人二人と去り、残った人たちも談笑したり、記念撮影に興じていた。

 声の限り訴えかける首相とほとんど関心を失った市民。自民党の退潮だけではなく、求心力を失いつつあるニッポンを象徴するような光景だった。

Facebookでフォロー Xでフォロー メルマガに登録
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。

新着記事

»もっと見る