それぞれの物語の中に男ではなかなかできないような発想の切り替えを大胆に行う様子が見て取れる。後に続く若い世代の“妹”たちを励ます本であると同時に、男性が読んでも人生への向き合い方に元気をくれる本である。
信頼を勝ち取る“ずるい”自己表現
二冊目は『ずるいPR術』(下矢一良著、すばる舎)である。刺激的なタイトルであるが、企業が自社を効果的にPRするにはいかなる発想をすべきなのか、その方法を伝授してくれる。
たとえば実績がゼロでも社長に焦点を当てて事業とセットで立派な会社に見せることや、商品に特徴がない時にはタイミングやデータを活用したり、「人」に焦点を当てるなどしてPRする手法を指摘する。テレビ局に勤めた経験があり、メディアを熟知した著者が、どうメディアを活用すれば効果的な宣伝につなげられるかなどのコツも解説している。そうした例として巨大通信企業に成長した会社の社長を本書で紹介する。
このほか、事業を開始してある程度の時間が経過したものの、中途半端な実績しか上げていない企業が活用できる方法などについても紹介する。
著者はこの「本格スタート」について、「サービス開始当初」に戻れる魔法のフレーズと表現し、創業1年程度なら十分通用すると指摘している点は興味深い。
著者はメディアを活用するタイミングや方法論なども事例とともに示す。新元号が発表される日に、「新元号の酒」として製造、販売した例や、同業他社の不祥事に乗じて、自社の誠実な部分をアピールすることなどである。
考えてみれば、こうした手法は企業のみならず、個人にも応用できそうなことである。適切なセルフブランディングによって、自分が発するイメージを好転させることができれば、チャンスが回ってくるだろうし、将来の成長に向けた足がかりを得ることもできるだろう。
ただし、それには自己研鑽が必要であり、努力と実績を積み重ねていかなければならない重要性についても本書の中で読み取ることができる。著者の表現する「ずるい」という言葉は「頭を使った」という言葉に置き換えてもいいだろう。
最後に著者が記すこのメッセージは、まさに本書の本質を示していると言える。
