歴史、戦争、文化、沖縄に関する本を選びました。いろんな角度から沖縄を知ることができます。
守礼之邦
天地に燦たり 川越宗一 文春文庫 792円(税込)
豊臣秀吉による九州攻め、文禄・慶長の役、琉球侵攻。この時代を生きた、琉球の官人(密偵)・真市、朝鮮の被差別民・明鍾、薩摩島津家の重臣・大野七郎久高の交わりを描く。秀吉の世が終わり、薩摩に侵攻されてしまう琉球。今に続く苦難はこんな時代から始まっていたのかと思うと、重苦しくなる。それでも、かつての琉球が東アジアの一角で、小さいながらも「守礼」を大切にしながら、生き抜いていた様子が真市から感じとることができる。
何もないことの美
沖縄文化論 忘れられた日本 岡本太郎 中公文庫 1320円(税込)
芸術家は若い頃、パリの大学で民族学を学んだという。本書では冒頭、柳田国男の「山の人生」、ある貧しい炭焼きの子殺しの話が紹介される。岡本は沖縄での旅を「痛切な生命のやさしさ」と表現する。沖縄、中でもその離島ではマラリアが猖獗を極め、人が定住することができなかったり、貧しさゆえに口減らしが行われたりしてきた。沖縄、かつての大和にも筆舌に尽くし難い貧しさがあり、そこから生まれる美しさがあったのだと教えてくれる。