夏真っ盛り。ちょうど夏休みを取っておられる方も多くいらっしゃるだろう。この時期は、忙しい日常を離れて自分を見直す良い機会でもある。普段はなかなか時間の取れない自己点検とセルフブランディングにこの夏じっくり取り組むにあたって役立ちそうな3冊を選んでみた。
各界で活躍する“姉”の苦しい時代を知る
人生で迷っていた時期や苦しんでいた頃の話を他人から聞く機会は多くない。自ら進んで明かす人は少ないからだ。しかし本書『一歩が踏み出なかった私へ 最高に楽しく生きる先輩20人が明かすどん底だったときの話』(日経ウーマン編、日経BP) は、各界で活躍する“姉”たちがそうした部分を率直に教えてくれる本である。
雑誌『日経Woman』の人気連載をまとめた。活躍のきっかけをつかむまでには様々な悩みや葛藤があったことをそれぞれが語っている。成功した人は順調な歩みをしたと思いがちだが、見えないところでさまざまな苦労を経験していることが分かる。
ドラマでヒット作を連発している脚本家の中園ミホさんもその一人である。朝の連続テレビ小説「あんぱん」の脚本のほか、「ハケンの品格」などこれまで注目された数々の作品を手がけているが、若い頃は酒やギャンブル、恋愛にはまる荒れた生活をすごしていたという。
「生意気で、世の中をなめていて、努力もせず、態度も悪い」と学生時代を振り返る中園さん。その後脚本家を目指してキャリアを始めたものの、なかなか書けない時を過ごす中で、仕事に真剣に取り組むようになったきっかけが未婚の母として子を育てることになってからだという。
「本当に、人生って楽しいんだろうな?」
大変だ、私はこの子を幸せにしないといけない――。初めて、人生にギアが入りました。脚本を書くのは、家で子育てをしながらでもできる。「この仕事で生きていこう」。覚悟が決まった瞬間でした。
中園さんのほかにも、郵便不正事件で逮捕・起訴されたものの無罪が確定し、その後厚生労働事務次官を務めた村木厚子さんらが紹介され、それぞれの人生の中で感じた思いが記される。その多くに共通しているのは、大変なことがあってもそれを自分なりに消化して、元気よく前に進んでいるという点である。
