2025年12月6日(土)

都市vs地方 

2025年8月22日

 64年東京五輪開催のためようやく環状道路計画が動き出した。この頃から国と東京都は、東京23区を基本とする8本の道路に加えて外環、圏央道の建設を計画し、着工した。あと数年で直径約100㎞の圏央道がほぼ完成となる。

 東京大都市圏が機能している理由は、東京都内に環状道路を環1から環8まで8本、首都高速が都心環状線と中央環状線と2本、そして東京都外も含めて外環(東京外郭環状道路)、圏央道(首都圏中央連絡自動車道)と、合計12本の環状道路を計画・整備しつつあるからにほかならない。

 圏央道の路線には、東から順に、成田、つくば、久喜・白岡、青梅、横田基地、八王子、相模原、海老名などという主要な都市と施設がある。これらの地域はいずれも首都圏における重要な機能を担っている。ロンドンやニューヨークに比べた東京の強みは、この巨大かつ濃密な都市圏が有機的に形成され、それぞれ特色ある地域が互いに補完仕合いながら機能していることである。

噴出する将来への課題

 しかし戦後80年を経た今、東京は新たな課題をたくさんかかえている。マンション価格高騰対策をはじめ大都市政策の展開が必要なことはすでに6月27日付本欄「都議選で自民党が“大敗”したシンプルな理由、危機感が足りない候補者たちに求められることとは何か?」で述べた。

 マンション価格高騰対策については、都は公民協調型のファンドによる子育て世帯等に対して手頃な価格で設備の整った「アフォーダブルハウジング」の提供を打ち出している。これに加えて、都が全額出資し低所得者や高齢者、障害者向けも含めた様々な住宅を管理・提供する東京都住宅供給公社(JKK東京)を活用するのも効果的だ。

 このほか、区部周辺には、高度成長時代に建設され防災上も問題のあるいわゆる老朽マンションも多く、これらは都心と違って民間の力では再開発できないケースが多い。防災上必要だが未完成となっている道路計画もまだ存在する。

 近年は工事費の高騰や労働力不足が深刻で、23区でも周辺区の再開発が従来以上に困難となっている。国の再開発事業補助金は、都市再生法や国際戦略特区を重視する傾向があるが、都は必ずしも国が重視しない周辺区の再開発の支援を強化していかなければならない。長い間、都は自らの住宅投資に対しては抑制的だったが、こうした課題に対し危機感をもって、重点的な財政出動を実施すべきである。

 また、小池都政が積極的に取り組んできた地下鉄やモノレールといった鉄道網の延伸について も、都市の価値向上と土地利用の充実発展のため不可欠である。

 都はこうした山積する課題やそれを解決することの意義を国に対しても都民に対してもアピールすべきだ。

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