「韓国は変わらない」は本当なのか?
各国とも新政権発足から100日間をハネムーン期間と称するが、パリパリ(早く早く)文化の韓国では、この期間も短い。思いのほか李在明政権への批判は少ないようだが、韓国の有識者は李大統領の外交政策をどう見ているのだろうか。
韓国のマスコミや元政府関係者に共通するのは、揺り戻しへの懸念だ。「コリア・フォーカス」編集長の徐台教氏は「無風状態が続くと、何かあった時のハレーションが大きくなるのではないかと不安」と吐露し、元政府関係者は「今は台風の目の中の静けさ。中国からの圧力や北朝鮮との関係などスキャンダルで、いずれ馬脚を現す」と厳しい。
つまり、李大統領の政治的立場が危うくなってくると、求心力維持のために厳しい対日姿勢を取らざるを得ないということだ。この懸念は「韓国は変わらない」とする見方につながるわけだが、北朝鮮の金与正氏も同じ見方を示している。同氏は8月14日、「ソウルの希望は愚かな夢に過ぎない」という談話を発表した。
談話は、李大統領による「拡声器の撤去」や「米韓連合演習の調整」といった対北融和政策を全く評価せず「欺瞞劇」と断じ、「少しも変わっておらず、変わるはずもないと確信する」と強く非難するものだった。
韓国の有識者と北朝鮮の金与正氏が「韓国は変わらない」と指摘しているのだから、李大統領の外交姿勢も年を経るごとに変化し、いつしか反日路線に回帰するのかもしれない。
しかし筆者は、ここ数年、端的に言えばロシアによるウクライナ侵略以降、韓国は大きく変わったのではないかと感じている。
兵器輸出の躍進で高まった韓国のポジション
韓国の余裕は、軍事力向上が外交的自信をもたらしたという現象の表れとも解釈できる。19世紀後半、「鉄血政策」でドイツ統一を果たしたビスマルクが、その後「公正な仲介人」として欧州の平和維持に努めたように、軍事的優位の確立が、かえって協調的な外交姿勢を可能にしたケースだ。
加えて、社会心理学における「社会的アイデンティティ理論」によれば、集団が自らの地位に脅威を感じる時期には、より攻撃的な行動をとりがちになる。だが、軍事力の活用で国際的な地位を高めた韓国は、こうした不安感を軽減し、より安定した外交姿勢を可能にしたとも考えられる。
