日韓関係の構造変化から日本が学ぶもの
戦後の日韓関係をざっくりと総括すると次のようになる。日韓関係は日本が経済的に上位であった垂直関係から、日韓の国力が同水準になり水平関係に移行したことで、日本は優位者としての余裕を失い、成長で自信を得た韓国は承認欲求が高まり日本に厳しく当たるようになった。
筆者は、防衛産業という軍事資産の活用を考慮すると、日韓の関係は韓国が上位になった垂直関係に入りつつあると見ている。実際、購買力平価(PPP)を基準とした一人当たり国内総生産(GDP)は2018年に韓国が追い抜き、その差は開く一方だ。
改めて日韓首脳会談に目を転じよう。筆者は、李大統領が見せた余裕は韓国が軍事資産を活用して国際社会でのポジションを大きく高めたことに起因するものであり、李大統領のみならず、将来の韓国政権も同じように対日融和姿勢を示す可能性があると考えている。
韓国は、強くなって優しくなった。この仮説が事実か否か証明するにはもう少し時間が必要だ。一方で、日本は国力から軍事力を除外して考えるようになって久しい。韓国の変化から日本が学ぶことがあるとすれば、国力と軍事力の関係を正面から受け止めて、軍事資産を平和的・肯定的に活用して国力を高めていくことではないだろうか。
