Q2 日本では比較的長期に入院する傾向が見られます。
入院日数の長さは医療の「手厚さ」に比例するのでしょうか。
入院日数の長さは医療の「手厚さ」に比例するのでしょうか。
A2 日本の平均在院日数は諸外国の2倍以上となる16日となっています。「日本は手厚い」とポジティブに受け取る方もいるかもしれませんが、「患者のため」というよりも、「病院経営のため」という面があるのも事実です。
入院日数延伸の背景として、急性期医療が終了した患者やもともと急性期でない患者に必要な回復期の病床が不足しているため、急性期病床を利用せざるを得ないなど、様々な事情がありますが、今の診療報酬の仕組みでは、どうしても過剰に存在する急性期医療の病床を埋めるため、長く患者を在院させるインセンティブが働きやすくなっています。
Q3 長く入院させるとコストも増えるのではないかと思います。
なぜ患者を長く入院させるインセンティブが働くのでしょうか。
なぜ患者を長く入院させるインセンティブが働くのでしょうか。
A3 ほとんどの急性期病院に適用されている「診断群分類包括支払い制度(DPC/PD
PS)」が大きく影響しています。この制度では、入院患者の病名や治療内容に基づいて、国から病院に支払われる1日あたりの報酬が決まっています。
入院期間が長くなるほど段階的に診療報酬が下がる設定なのですが、入院期間中、報酬は発生し続けます。一方で、同じ包括支払い制度でも、欧米では1日あたりの報酬ではなく、「1入院あたり(正確には1疾患あたり)の包括払い」が一般的です。
この場合、早く治療を終えて在院日数を短くするインセンティブが働きますが、未完治が要因となる再入院や、合併症発症率のリスクがあります。そのため、欧米ではこれに加えて「医療の質指標」を可視化し、「質」を報酬制度に組み込んでいます。


