2024年4月27日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年5月29日

 4月21日付け米ニューヨーク・タイムズ紙で、Peter Baker同記者が、オバマ大統領は冷戦期のようにロシアを封じ込めようとしている、と論じています。

 すなわち、オバマ政権は、現代版の封じ込め戦略をロシアに適用する長期にわたる新しい政策として適用しようとしている。冷戦期にアメリカがソ連に対処した方法と同じく、オバマは、ロシアと他国との経済的、政治的な連携を断ち切ったり、ロシアの近隣諸国への拡張主義的な野心を制限したりすることを通じて、プーチン大統領を世界から孤立させることに焦点を当てている。

 もしクリミア半島・ウクライナ東部での危機について解決策が見つかったとしても、オバマはプーチンとは今後建設的な関係を持たないだろう、と政府の関係者は述べている。その結果として、オバマは残りの任期の2年半の間、プーチンが引き起こす混乱を最小限に抑えることに務め、クレムリンの主人である大統領を無視することも厭わずに過ごすことになるかもしれない。

 オバマの対ロ政策は、次の駐ロシア大使の人選にも影響を及ぼしている。まだ公式には発表されていないが、ホワイトハウスは、ウクライナ、グルジア、リトアニアの大使を歴任したジョン・F・テフトを大使に任命する準備を進めている。数カ月前、政府高官は旧ソ連諸国でのテフトの経験がロシアを刺激するとして慎重であったが、現在はクレムリンを不快にさせることには躊躇していない。

 実際、オバマは1947年にジョージ・F・ケナンが最初に提唱した対ロ政策を現代風に改造している。

 米政府は、ジュネーブでの四者合意にロシアが従わなかった場合に備え、更なる制裁対象の人物や組織のリストを準備している。しかし、オバマはロシア経済の全てのセクターに対して懲罰的な手段をとろうとはしていない。

 国務省や国防総省のよりタカ派的なグループは、これに不満を募らせており、オバマが弱い印象を与え、意図せずにロシアによるクリミア編入を容認するメッセージを送ることになると心配している。

 その一方でプーチン大統領は現在も成功の満足感に浸っているように思われるが、最終的には彼が自国にもたらした経済損害がどの程度かを発見することになるだろう。オバマ政権によれば、ロシアの株式市場とルーブルは下落し、ロシアから資本が逃避し、外国からの投資への抵抗が広がりつつある。

 オバマの新しい対ロ政策は、大統領就任直後とは大きな転換を遂げている。彼は就任時にはロシアとの新たなパートナーシップを推進する夢を抱いていた。オバマはかつてロシアがWTOに加盟する手助けをしたが、今ではロシアによる外部の市場アクセスを制限しようとしている。


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