日本政府は大口顧客
国内も喜ぶTPP協議
一方、このような環境でも日本政府は、自国のコメ農家を守るために、一定量のコメを輸入し続けなければなりません。米国でコメの価格が高騰しても、価格に関係なく量を基準に輸入するのです。
4月、TPP(環太平洋経済連携協定)をめぐる日米協議に進展がありました。報道によると、日本が輸入米にかける高い関税(778%)を維持する代わりに、無関税で輸入するミニマム・アクセス(MA)米のうち、主食用(年間約10万トン)の米国産米(同約4万トン)の輸入量を増やす方向で調整するそうです。MA米とは別に、米国特別枠の新設も検討しているといいます。
この動きは、米国のコメ業界と日本の外食業界にとって朗報といえます。昨年のMA米は約77万トンで、そのうち米国産米は約36万トンでした。これはカリフォルニアからの輸入です。米国のコメ業界は、年間生産量約100万トン(今年は約80万トンの予想)のうち、3~4割は価格が高騰しても必ず買い取ってくれる日本政府を、安定した大口顧客と見ています。
主食用では、加工用よりも買い取り価格が上がるため、主食用の輸入量が増えるのは米国のコメ業界にとって朗報。それでも国産米と比べれば低価格ですから、安価で良質なコメを求める日本の外食産業にとっても朗報なのです。今回の交渉は、将来の関税全廃に向けた現実的な対応ともいえるでしょう。
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