民主党候補圧勝の意味
ウォーキンショーの勝利は、バージニア州の知事選に向けて民主党に勢いをつけた。同州では知事は1期のみなので、共和党の現職グレン・ヤンキン知事の次の知事を決める選挙が、11月4日に実施される。現時点では、民主党の元下院議員アビゲイル・スパンバーガー候補が、共和党の同州副知事ウィンサム・アールシアーズ氏をリードしている。民主党はバージニア州では、フェアファックス、リッチモンド並びにバージニアビーチの3カ所を制すれば、勝利の可能性が高まる。
今年2月下旬、筆者がコノリーのワシントン事務所を訪れると、彼はすでに体調不良であったのにもかかわらず、約45分間のインタビューに応じてくれた。そのとき、彼はこう語った。
「ホワイトハウス、上院、下院、すべて共和党がコントロールしているので、来年の中間選挙はその反動が来ます」
米国では中間選挙は、有権者がパワーバランスを考慮して、現職の大統領と逆の政党が有利であると言われる。
続けて、彼はこう述べた。
「11月にニュージャージー州とバージニア州で知事選がありますが、バージニア州の知事選に注目しなさい。民主党が共和党から奪還すれば、来年の中間選挙で民主党が勝つ予告になると思います」
最後にこう指摘した。
「トランプは、2024年米大統領選挙で普通の人々の票を獲得しました。民主党は、来年の中間選挙で彼らを説得しなければなりません」
米有力紙ワシントンポストと調査会社イプソスの全国共同世論調査(2025年9月11~15日実施)によれば、次の中間選挙で民主党が議会の多数派を握り、トランプの行動を抑制することを望む米国民が53%、共和党が多数派になりトランプの政策を支援することを望む米国民が42%であった。
トランプはこの数字に危機感を持ったのか、自身のSNSに2026年11月3日の米中間選挙の前に、共和党全国大会を開催すると投稿した。民主党は1970年代と80年代に中間選挙の前にも全国党大会を行っていたが、費用や時間等の理由で、1986年に大会を廃止した。
米大統領選挙の前に全国党大会を実施するのが恒例だが、トランプによれば、共和党が中間選挙の前に大会を行ったことはなく異例だ。それだけ、彼は来年の中間選挙を重視していると言える。下院を落とせば、3回目の弾劾訴追の可能性が高い。上院で阻止できたとしてもトランプのプライドが許さないだろう。
果たしてコノリーが生前に語った上記の言葉通りになるのか、2026年米中間選挙を占う上で、11月のバージニア州知事選から目が離せない。
追記
親交のあった人の訃報を受け取るのは、いつでも衝撃的であり辛い。
コノリーは、多様性を重視し、寛大さと優しさを備えた人であった。昔のことだが、支持者数名と日本から来た研究員である筆者を自宅に招いてくれたことがある。訪日した際は、連絡を受けて会食をした。家族や共和党の下院議員までも紹介してくれた。
コノリーは連邦下院議員の職に就く前、コンサルタントとして日本を訪問し、金融機関など日本企業とビジネスをしていたと語っていた。日本に対して非常に関心が高く、日本の少子化問題を懸念していた。
下院議員の仕事を続けながらも闘病生活を送っていたコノリーに「ジェリーはファイターだ」と告げると、これまで見たことのないような素晴らしい笑みを返してくれた。
コノリーには深く感謝をしている。
