2025年12月6日(土)

田部康喜のTV読本

2025年10月7日

 最新刊の『西洋の敗北と日本の選択』の中で、トッドは「トランプ大統領が日本をはじめ外国から工場の移転を求めるのは正しい。しかし、高関税は輸入物価の急上昇によってインフレを招くジレンマに陥る」と予言する。

 米国一極主義が大きく揺らいでいる今、日本はどうすべきか。ドットは欧州とともに様子をみながら、米国とともに致命的な決定をしないことを助言している。

 高市が立候補にあたって掲げた公約のなかで、日本の技術力の行方や米国や中国、ロシアに旗幟を鮮明にする外交をはっきりとうたっていない。「時代精神」に敏感であることを感じさせるが、それは首相の座に就いてからはっきりとする。

「時代遅れ」となる伝統的なメディア

 新首相の高市が国会で指名された後に予想される衆議院選挙などで、新たな時代を迎えることは間違いない。

 「AI時代」に先立つ「デジタル情報革命」において、その対応が遅れた業界が新聞とテレビだった、と書くと読者の皆様は驚かれるだろう。取材はいまや、スマートフォンとノートPCがあれば、執筆、映像撮影、取材センターへの送信も不自由はない。「紙」と「カメラ」の“重装備”から“軽装備”へ移行するにはかなりの時間を要した。

 総裁選に立候補した5人の候補を集めて、伝統的な日本記者クラブやキー局の討論番組があまり話題にならなかったのも無理もない。ベテラン記者たちは「AI革命」と米国一極集中の崩壊という「時代精神」に欠けていたからだ。

 日本の国家ビジョンを聴いた質問は的を外してはいない。しかし、内外の情勢を加味した質問としてはちょっと距離があった。

 さて、人工知能の「ChatGPT」に今回の総裁選について、テレビの視聴率などについて尋ねることにしよう。

 テレビの視聴率に触れているのは、以下の1点だけである。しかも、但し書きとして、「総裁選そのものではなく国会の党首討論、国会中継など他の議論番組についてです」として「“初の夜間党首討論”に関して、テレビの視聴率が『1% → 3%にアップした』という報道があります」(毎日新聞)。

 キー局は、それぞれがネットで放送している番組で総裁選の討論会の映像配信を手掛けた。アトランダムに、視聴回数をみていこう。(10月6日現在)

・テレ東Biz 「総裁選ライブ」 72万回
・ABEMA PRIME 「最後の討論会」 20万回
・日テレNEWS 「日本記者クラブ討論会」 22万回
・ニコニコニュース 「候補者 vs 高校生『日本の未来』」 28万回
・自民党のネット番組[Cafesta]と、ひろゆきhiroyukiコラボ 34万回

 自民党の候補討論会の司会をネット界の著名人である、ひろゆきに委ねたのは新機軸だった。しかし、上記の全体をみても、映像配信で「バズッタ」と言われる100万回を超えてはいない。


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