高市早苗氏が当初の予想を覆して、自民党総裁選で勝利した。首相に指名された後、新内閣を発足させる見通し。
(代表撮影/ロイター/アフロ)
党を立て直し、遠からず予想される衆院解散・総選挙での党の「顔」となる高市氏を迎える国民の視線は必ずしも歓迎一色ではない。政治経歴、能力は十分とはいえ、保守色が強いなど、国のかじ取りをゆだねるにあたっての懸念、不安は少なくない。
国民から幅広い支持を勝ち取り、野党の協力を得るためには、政治姿勢や政策において、警戒感、不安感を取り除くことが最優先課題だろう。
党再生の切り札
高市総裁の選出は、かつてリクルート事件で揺れた党を立て直すために海部俊樹氏が登場した1989年の総裁選を彷彿とさせる。
竹下登内閣がこの事件で倒れ、後継の宇野宗佑内閣も参院選で惨敗して退陣。党再生の切り札として登場したのが海部氏だった。
氏は小派閥出身ながらさわやかな弁舌などで早い時期から政界のプリンスといわれていた。予想通り人気は上々、翌年の総選挙で自民党は275議席と減少を最小限に食い止め、危機を乗り切った。
裏金問題をきっかけとして昨年秋の総選挙、今年夏の参院選で連敗、衆参両院で過半数を失った自民党は、海部内閣発足時以上の危機に置かれている。
創建以来の苦境を打開するために、清新な指導者が求められたのは当然で、初の女性総理・総裁となる高市氏、就任すれば最も若い44歳の小泉進次郎氏が決選投票に残ったのも自然な展開だった。
