「無節操」「権力志向」などマイナス評価も
高市総裁は、その発信力の強さ、政策の明るさ、安定した国会答弁ぶりなど能力の高さから、世論調査では「次の総理」としてトップか上位にランクされてきた。
それを現実にした手腕は見事というほかはないが、半面、初当選当初、自民党以外から出馬、途中から入党した無節操さへの批判もあり、森喜朗、安倍晋三元首相ら時の実力者への接近など権力志向が強いなどマイナス評価も少なくなかった。
ルール無視などで物議を醸したこともある。
1年前の総裁選に出馬した際、党の総裁選管理委員会の規則に反してリーフレットを大量に郵送したと指摘されたが、「ルールが決まる前に郵送していた」などと強弁した。
総務省幹部職員が業者から接待を受けていた問題(2021年)にからんで、氏も総務相時代に会食していたことを指摘され、「会費は払った。それ以上の費用がかかったのなら先方の約束違反だ」と開き直ったこともある。
国民の支持が高いといっても、「候補」の時代と実際に首相になってからでは、評価も変化する。首相就任後も時に不誠実と映れば、有権者の心は離れてしまうだろう。
公明代表、連立維持要請に即答避ける
高市総裁にとって保守色を薄めなければならないのは、政治的な側面からも重要だろう。
自民党は少数与党、連立の枠組み拡大を含めて野党の協力を得られなければ法案は成立しない。総裁が首相指名を受けられない事態すら現実味を帯びる。
現時点で野党が非自民連立政権で一致する可能性は、各党の思惑違いから極めて低いが、連立の一角を占める公明党の支持が揺らぐ事態も否定できない。
高市総裁は就任直後の4日午後、公明党の斎藤鉄夫代表と会談、連立政権の継続を呼びかけたが、斎藤氏は、「靖国参拝が外交問題に発展したこともある。懸念を抱いている」と述べ、即答を避けた。会談後、「今の段階では何とも言えない」と慎重な姿勢をみせた。
