第1:中国を不必要に刺激する。しかし、これは誤解で、対中関与の深化はリバランシングの特徴の一つである。米中戦略経済対話、戦略安全保障対話は新アプローチの例である。米中緊張はありうるが、これは協力的米中関係で対処し得る。
第2:中東にはシリアなど諸問題があるから、中東からアジアに注意をシフトするのは賢明ではないし、現実的ではない。中東、南アジアでの苦労から逃げ出し、より利益のあるアジアに向っているとの見方がある。しかし、外交はゼロサム・ゲームではない。アジア諸国自体、日量 3000万バレルの石油を消費していることもあり、米国が中東、南アジアで影響力を保持する事を望んでいる。
第3:防衛予算削減の時に、必要な資源配分は出来るのか。リバランシングは劇的に資金を要するものではなく、よいお金の使い方をすればよい。例えば、陸軍は減らし、海空への投資を増やすなどである。米の防衛予算増大が見込めないので、米はアジア諸国の軍を強化すべきである。
リバランスへの反対論は詳しい検討に耐えないが、大きな問題もある。
一つは人材不足である。アジア専門家が不足している。これを育てる必要がある。
また、アジアへの軸足移動は、特に中東での危機に邪魔されるだろうし、経済困難もあり、対外関与縮小への動きが議会にはある。
アジアでは、経済と安保は分かちがたい。TPP交渉の成功が必要である。議会は政府に早く通商交渉権限を付与すべきである。
米中間の関与は成果を生み出しているが、中国は戦略的パートナーであると同時に戦略的競争者でもある。東シナ海での防空識別圏の設定は現状変更の試みである。米国は中国に、これは安定した米中関係、「新型の大国関係」と両立しないと明らかにすべきである。
日本の安倍総理は、日本を誇りを持つ国にしようとしているが、米国は日本に抑制と歴史についての繊細さを持つように引き続き勧めるべきである。戦犯も合祀されている靖国参拝の国際的なコストは米や中韓との関係でも高い。
こういう緊張がある中で、米国は、日本が安全保障上の役割を増やすように自衛隊と協働することになる。日本の憲法の再解釈、軍近代化は必要である。これを日本の軍国主義とする中国の宣伝には反対である。また日韓関係改善のために努力すべきである。