2025年12月14日(日)

勝負の分かれ目

2025年11月24日

 今井投手は今季まで3年連続2桁勝利をマークし、今季の防御率は自身初めて2点を切る1.92。昨季は最多奪三振のタイトルを獲得し、今季も球団新の1試合17三振を奪う本格派だ。自己最多となる5完投をマークするなど、今季の成績はキャリア最高のシーズンといえ、日本球界屈指の先発右腕であることは間違いない。

バブルだけではない事情

 とはいえ、なぜ、まだメジャーのマウンドで1球も投げていない投手にこれだけの大金を積むことができるのか。日本人の先発投手への市場の過熱ぶりは、完全なバブルかと言えばそうとも言えない背景がある。メジャーリーグの好調な市場規模の拡大も影響しているからだ。

 米経済誌「フォーブス」が今年1月に発表したメジャーリーグ(MLB)の24年の収益は過去最高の121億ドル(約1兆8876億円)となった。11月20日には、NBCスポーツ、ESPN、米動画配信大手Netflixと26年シーズンから3年間の新たな放映権契約を結んだ。報道によれば、3年間で総額8億ドル(約1250億円)規模。日本経済新聞の記事によれば、放映権の分散でMLBの収入が増えることになるという。

 リーグ全体の収益増加に伴い、選手が手にする年俸も増加傾向にあり、25年開幕時のメジャー選手の平均年俸も過去最高の516万ドル(約7億6900万円)。メジャーの歴史の中で初めて500万ドルを突破した。

 近年は、24年にドジャースと契約した大谷選手の10年7億ドル(当時のレートで1050億円)、今井投手と同じボラス氏が代理人を務めるファン・ソト選手はメッツと15年総額7億6500万ドル(同約1150億円)と大型契約も相次ぐ。

 今井投手がメジャーに移籍すれば、先発ローテーションの軸になることが期待され、27歳という年齢を考えても、6~7年の複数年での大型契約は間違いないだろう。山本投手や、来季からカブスと新たに1年2202万5000ドル(約33億円)で契約した今永昇太投手らと比較しても、遜色のない評価となる。

 そして、日本人投手の評価がバブル化していないことは、選手個々の評価に大きな差がある点からもうかがえる。

今井投手の本当の評価は?

 山本投手が23年オフにドジャースへ移籍した際も破格の待遇と言われたが、メジャーのスカウティングはシビアで、日本球界での実績だけでなく、「メジャーで勝てる投手」かどうかの指標を持っている。


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