2025年11月18日(火)

勝負の分かれ目

2025年10月28日

 プロ野球の今秋のドラフト会議で、岩手・花巻東高校時代に歴代最多とされる通算140本塁打をマークし、現在はNCAA(全米大学体育協会)1部、米スタンフォード大学に在籍する佐々木麟太郎選手が、ソフトバンクとDeNAから1位指名を受け、ソフトバンクが交渉権を獲得した。佐々木選手は来年7月のメジャーのドラフト指名の対象にもなっており、日米による異例の争奪戦も予想される。

(AP/アフロ)

 日本球界では屈指の恵まれた環境を持つソフトバンクだが、現状では12球団で唯一、ポスティングシステムによるメジャー移籍を容認しておらず、将来の目標をメジャーに置く場合には海外フリーエージェント(FA)権を取得する最短9年を経る必要もある。メジャー移籍は決して簡単ではない。

 日米どちらへ進むのか。佐々木選手の決断は、次世代にとっても新たな選択肢の可能性を広げる――。ここからの9カ月は目が離せない。

静かに動いていた日本球界

 「特殊な例ですね」

 西スポWEB OTTO!の記事によれば、ソフトバンクの小久保裕紀監督は、佐々木選手のドラフト指名をこう振り返った。ドラフト当日は、翌々日から日本シリーズが控えていたため、会場には姿を見せなかったが、事前に1位指名方針の報告を受けていたという。

 佐々木選手のサプライズ指名の裏で、ドラフト前から“不気味な静けさ”が漂っていた。

 日本野球機構(NPB)は今年7月、メジャーリーグ側に確認を取った上で、佐々木選手が秋のドラフト指名の対象となることを12球団に通知した。ただし、指名する球団は、来年7月中旬に行われるメジャーのドラフト指名の対象にもなっていること、佐々木選手が来年2月からの大学リーグ戦に出場した場合、交渉解禁はシーズン終了後の同5~6月となることを織り込む必要があった。NPBのドラフト規約は2023年に改定され、海外の学校に在学中の選手は契約締結の期限が翌年7月末に延長されていた。


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