火ぶたを切る「日米争奪戦」
くじを引き当てたソフトバンクは今後、どのように動くことができるのか。
佐々木選手の来年のリーグ戦が終わるまで交渉や契約は行えないものの、連絡を取ることは可能だ。報道によれば、王貞治球団会長が佐々木選手と電話で話したことが、球団を通じて明らかになった。王会長は「すごく喜んでくれて、こっちもうれしかった。一緒に高い目標を持って頑張ろうと伝えた」とコメントした。
くじを引き当てた城島健司CBO(チーフベースボールオフィサー)が近く、佐々木選手の母校・花巻東を訪れ、洋監督にあいさつする。球団は11月にも米国を訪れ、本人にもあいさつする予定だという。
大学の全日程が終わる来年5~6月からは、交渉が可能で、7月のメジャーのドラフト前に契約を結ぶことも可能となる。ただし、7月のメジャーのドラフト会議で指名を受けた場合、翌日からはメジャー球団が交渉を開始できる。日米ともに交渉期限は7月中のため、佐々木選手がプロ入りする場合には、それまでに決断を下すことになる。
日本球界きっての育成環境
ソフトバンクが日本球界では屈指の恵まれた環境にあることは間違いない。
日本プロ野球選手会が公表した2025年の支配下登録選手の平均年俸(外国人選手や非会員選手を除く)で、ソフトバンクは6956万円で2位だったものの、昨年はトップ。ここ数年、巨人とトップを争っており、待遇面に恵まれる。
それだけではない。福岡県筑後市に充実したファーム施設を整備し、育成・強化にも力を入れる。「世界一」の球団を目指すという高い目標は半面、現状では12球団の中で唯一、ポスティングシステムを容認していない姿勢を貫く。
エースだった千賀滉大投手(メッツ)らも海外FA権を取得するまで移籍がかなわなかった。ロッテから佐々木朗希投手(ドジャース)がプロ入りから5年でメジャーに挑戦できたのに対し、海外FA権は最短でも9年を要する。メジャー志向が強い選手にはネガティブな要因にもなる。
