2025年12月7日(日)

勝負の分かれ目

2025年10月28日

 佐々木選手は、父・洋氏が監督を務め、菊池雄星投手(エンゼルス)や大谷翔平選手(ドジャース)らの出身でもある花巻東高で1年時から注目された左のスラッガーで、高校卒業時にもドラフト上位指名候補だった。本人は野球も含めた自らの可能性を広げるために米国の大学へ進学した。もしも、プロ入りとなれば、一塁に限定される守備の課題がネックだったが、セ・リーグも27年からDH(指名打者)制を採用することも“追い風”となった。

8球団が視察に

 佐々木選手の今年5月までの大学1年目シーズンの成績は、リーグ戦52試合すべてに先発出場し、打率2割6分9厘、7本塁打、41打点だった。日刊スポーツの記事では、巨人など3球団が現地で視察したとの報道があり、ドラフト間近になると、ヤクルトとソフトバンクが指名リストに残していると報じられた。

 実際には、10月27日、東京都内で会見を行ったマネジメント事務所「ナイスガイ・パートナーズ」の木下博之氏によれば、少なくとも8球団が視察に訪れていたという。それだけ、水面下での指名に向けた動きは熱を帯びていたことになる。ただ、佐々木選手の意向を伝えるメディアもなく、上位指名の可能性は報じられていなかったのだ。

木下氏の会見には、約25社約40人のメディアが参加した

 そもそも、佐々木選手はメジャー志向が強い選手とされていた。今回のドラフトで日本の球団が指名をしても、来年のメジャーのドラフト指名を受けてメジャー球団入りをしたり、大学でのプレーを続けたりする可能性も残る。

 この場合、日本の球団は貴重な上位指名枠を無駄にするリスクがあった。一方で、下位指名では、佐々木選手への熱意が伝わらない。難しい舵取りの中でのドラフト戦略だったのだ。

 蓋を開けてみれば、ソフトバンクとDeNAが1位で競合した。しかも、指名選手として佐々木選手の名前がアナウンスされると、日本ハムの新庄剛志監督が天を仰いだこともネット上で話題になった。佐々木選手が所属するチームの公式Xが祝福のコメントを投稿する一方、佐々木選手の指名後の心境は明らかにされていなかった。

 木下氏によれば、佐々木選手はドラフト会議の模様をインターネット中継で視聴しており、DeNAも含めて指名をした2球団への感謝の気持ちを示したという。一方で、木下氏は、来年は少なくとも大学でプレーする意向を持っており、進路の決断はメジャーのドラフト後になることも明らかにした。


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