2025年12月14日(日)

勝負の分かれ目

2025年11月24日

 実際、日本球界で各チームのエース級だった先発が全て好条件で契約しているわけではない。中日のエースだった小笠原慎之介投手はナショナルズと2年総額350万ドル(同約5億5000万円)、日本ハムからレイズへ移籍した上沢直之投手(現ソフトバンク)、阪神からフィリーズへ移った青柳晃洋投手(現ヤクルト)はいずれもマイナー契約だった。

 評価の正しさを物語るかのように、3人とも渡米後は苦戦を強いられた。「勝てる」と踏んだ日本の先発投手をシビアに選別し、市場ニーズに比例して年俸が高騰するわけである。

 では、今井投手はどのように評価されているのか。

 日本のスポーツ紙などが11月20日、米スポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」が今オフのFA市場で“お買い得”になる可能性のある選手の1人に今井投手を挙げたことを一斉に報じた。同サイトが予想する契約規模は7年総額1億5400万ドル(約242億円)。日本時代の3年間の成績からエンゼルスの菊池雄星投手、来季から日本球界へ復帰する前田健太と同程度だと予想し、今井投手より3歳若く移籍した田中将大投手(巨人)と同程度の成績を残せば、その金額以上の価値があるとしている。

 菊池投手はメジャーの7シーズンで48勝、前田投手は8シーズンで68勝、田中投手は7シーズンで78勝を挙げている。今井投手が先発ローテーションに入れば、決してクリアできない数字ではないだろう。

かつては中継ぎ投手需要が高騰

 18年前の07年、日本ハムからレッドソックスへ移籍した中継ぎ左腕の岡島秀樹氏は、2年総額250万ドル(当時約2億9000万円)で契約した。同期入団の松坂大輔氏に注目が集まったが、シーズンが開幕するとリリーフで実績を積み重ねた。岡島氏がチームのワールドシリーズ制覇にも貢献するなど、前評判以上の好成績を残したことで、日本の中継ぎ投手への評価が急上昇したといわれる。

 実際、メジャー球団の動きが08年の移籍市場で活況になった。ロッテの守護神だった小林雅英投手がインディアンス(現ガーディアンズ)と2年総額625万ドル(約6億8600万円)、同じロッテの藪田安彦投手はロイヤルズと2年総額600万ドル(約6億6000万円)、楽天の福盛和男氏もレンジャーズと2年契約で総額は推定300万ドル(約3億3900万円)。ただ、3投手とも結果は残せず、日本の中継ぎ投手需要の高まりは、長くは続かなかった。

 今オフの今井投手の争奪戦は、すでに過熱の様相を呈する。すでに、パドレスがGM会議で獲得を目指すことを明言した。ダルビッシュ有投手が右肘手術で来季は絶望となるなど、先発陣の補強が急務な事情がある。


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