ほかにもヤンキース、ブルージェイズ、メッツなどの強豪も移籍先の候補に挙がる。複数のメディアの情報を総合すると、10球団前後が争うことになりそうだ。メジャーの公式サイトが「今オフのFA先発投手トップ5」の3位に位置付けられた。
ヤンキースの〝本気度〟と懸念
注目されるのが、ア・リーグ東地区のヤンキースの動向だ。地元メディアも今井獲得を進言する中、すでにブライアン・キャッシュマンGMがボラス氏と接触したことが明らかになった。26年の年俸総額は、2億8100万ドル(約436億円)に達し、リーグの戦力均衡の観点から一定額を超えたチームに支払いが義務づけられる贅沢税の対象となっているが、日刊スポーツの記事によれば、キャッシュマンGMは「私はお金を使うのが得意なんだ」とし、トレードなどの活用も示唆。なおも補強に積極的な姿勢を見せている。
ヤンキースといえば、全米一の大都市、ニューヨークに本拠地を置き、ワールドシリーズは最多27度の制覇を誇るメジャー屈指の名門だ。。日本人選手も松井秀喜氏やイチロー氏、黒田博樹氏らが在籍。現在のドジャースのように、日本国内での人気も高かった。
しかし、昨季はドジャースとの頂上決戦で敗れるなど、松井氏がMVPを獲得した09年を最後にワールドシリーズ制覇から遠ざかる。田中投手が退団した20年を最後に日本選手は不在(マイナーを除く)。大谷選手や山本投手、2人とチームメートの佐々木朗希投手らの争奪戦では、いずれもドジャースに敗れ、日本での馴染みが薄くなっている。
一方で、23年4月には、会員制転職サイトのビズリーチを起業した実業家の南壮一郎氏が日本人で初めてヤンキースのオーナーグループに加入し、話題を集めた。
今オフは先発が補強ポイントにもなっており、地元メディアも今井についての報道を過熱化させている。ドジャースが好例となっているように、日本選手の獲得は、メジャー人気が高まる日本国内でも、スポンサーなどのビジネス面でも利点になる。
ただし、ヤンキースはかつて、松坂大輔氏の争奪戦でライバルのレッドソックスに敗れた後、同じ07年に阪神から移籍した井川慶氏にはポスティングシステムの費用2600万ドル(約30億)と5年2000万ドル(当時のレートで約23億6000万円)で契約したが、メジャーでの実働は2年で通算2勝4敗、防御率6.66に終わった苦い経験がある。
今井投手が合意する契約総額によって、日本の先発投手の評価はさらに高騰するのか、ヤンキースはどんな条件で今井投手の獲得を目指すのか。メジャーの移籍交渉が本格化するウインターミーティングは12月7日(日本時間8日)スタート。ボラス氏は年内決着との見方を示唆する。これからの約1ヶ月、メジャーの移籍市場から目が離せない。
