2025年12月7日(日)

モノ語り。

2025年12月7日

まさに「昔ながらの田舎らしい食事」

 ごまだれは、私にとって思い出深いもので、子どもの頃に帰省して祖母から「ごまをすって」と言われると、「今夜はしゃぶしゃぶだ!」と喜んだものでした。時間をかけてごまをすっていくと粘り気が出てきます。そこに酢、醤油などを入れて自家製のごまだれをつくっていたのです。

 味工房志野の「うまいごまだれ」を口にした時に、祖母がつくってくれたなつかしい味を思い出しました。

 「まさに、『昔ながらの田舎らしい食事』というのが味工房志野のコンセプトでもあるのです。私が旅行代理店に勤務していた時代、お店を訪れると必ず買っていたのが『白餅』(大原街道店のみで販売)です。かつての田舎では普通につくっていたものを、今、私たちが提供させていただいています」

「ぴり辛のごまだれ」(左)と、「うまいごまだれ」(右)。

 取材当日、白餅も食べさせていただきましたが、そのおいしさにも驚かされました。味工房志野から販売されているドレッシングやタレは全て食べ尽くしたほどの大ファンですが、おいしさの秘密は何なのでしょうか。

 「社長は、京都の呉服屋街でとんかつ店を営んでおりました。そこで自家製のドレッシングをつくっていたのが、原点になっています。料理人としての味へのこだわりと共に、『高くても良い材料であれば、ぎょうさん(沢山)使う』といつも言っていますね」

 良い材料はたくさん使う。味工房志野では『存在感は薄いのに強い「うま味」カギは日本で唯一残る昆布の蔵』の記事でも紹介した「敦賀・奥井海正堂」の昆布をぽん酢などの出汁に使っているそうです。「おいしいね! とご家庭の食卓に広がる笑顔が私たちの目標です」と、宮本さんは言います。それは、良い材料で実現することができるのです。

 「ごまだれ」は、鍋の季節に必須アイテムです。「なんにでもかけたくなる」のネーミング通り、しゃぶしゃぶはもちろん、豆腐などお好みのものにかけていただければと思います。最後にもう一つ「ぴり辛のごまだれ」もおすすめです。私はとんかつにかけてみましたが、抜群に美味しかったです。

味工房志野・三千院参道店 京都市左京区大原勝林院町109
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