私が最も得意とするたまご料理があります。刺身の白身魚、エビ、貝をたたきにしてマヨネーズであえたものです。これをパンの上に乗せて食べると抜群に美味しいのです。
これまでは、誰もが知っている大手メーカーのマヨネーズを使っていたのですが、長年の友人の勧めで訪問したのが、熊本県菊池市の「コッコファームたまご庵」の物産館です。ここで購入した「オリーブオイルのマヨネーズ」を使ったたたきは、これまでとはまた違う、格別の味になりました。
物産館は、コッコファームで生産されたたまごが直売されているほか、お菓子や惣菜、さらには地域でとれたコメや、野菜も販売されています。出迎えてくれたのは、前田さちよさんです。前田さんは、長年マヨネーズをつくることが念願だったそうです。
「マヨネーズといえば、日本人の誰もが知っているブランドがあります。皆さん、その味に馴染んでいますので、それ以外の味を試していただくのはとてもハードルが高く、これまで何度もチャレンジしては失敗してきました」
マヨネーズの材料は基本的にたまご、塩、酢、植物油の4つです。鶏卵の生産が本業であるコッコファームには、「たまごだけはどこにも負けない」という自信があります。しかし、大手マヨネーズブランドの壁は高かったのです。
「まずは、マヨネーズを生産してくれるパートナー探しから始めました。地元熊本、福岡など様々な生産工場と試行錯誤をしましたが、これという味にはたどり着きませんでした。そんな時、今回の開発チームリーダーが人づてに出会ったのが秋田県のメーカーさんでした。たまごをたくさん使ったマヨネーズにしたい。でもそうするとコストが高くなってしまいます。
そこで、考え方を変えました。普通のマヨネーズよりも高くても特別なマヨネーズにすればいい。油についても、オリーブオイルを使ってみることにしました。
たまごを多く使う分、黄色が強く出ていたのですが、緑色のオリーブオイルを使うことで、それを中和できました。最後は塩と油のバランスです。好みもあるので、チームの中でも様々な意見が出たのですが、最後には皆が納得するおもしろい商品にすることができました」
