中国の反応は必然だった。北京の観点からすれば、台湾は中国の州であり、中国がそれをどう扱おうと他国には干渉する権利はない。日本が中国本土と台湾間の紛争に介入するかもしれないと言ったら、中国は抗議せざるを得ない。同様に、米国が台湾に武器を売却したら、中国はその都度抗議する。
しかし、反応は必然だったとしても、危機は必然ではなかった。中国は形式的に抗議した後、2週間もしたらまた先に進むこともできた。ところが中国は敢えて大きな対立に変えようとした。
なぜか。2つのことが起きているようだ。第1に、中国共産党には弱い者いじめの伝統がある。中国はまず威嚇し脅し、そして可能な場合は力で強制しようとする。上手く行けば結構だし、駄目ならあまり対立的でないやり方に変えることができる。
第2に、中国は高市氏の力を削ぎたい。彼女はタカ派の安倍晋三元首相の後継者で、公明党が連立から離脱したため、穏健なタカ派の小政党と連立を組んだ。中国は、高市氏は日本の軍事態勢を強化するだろうと懸念している。共同通信は、高市政権は日本が続けてきた領土内への核持ち込み禁止の終了を検討していると示唆した。
中国は世界史上最速で核武装を進め、中国にとっては核を持たない弱い隣国が望ましい。中国は高市氏の発言に対して怒れば、彼女の政敵は活気づくだろうと期待している。
日本の多くの企業は重要部品を中国の工場に依存し、また別の企業は中国市場へのアクセスに依存し、自民党の多くの議員はこうした企業と密接な関係にある。また、多くの議員が日本史上初の女性総理に懐疑的だ。
中国の経済的圧力は、高市氏に対し裏で強いメッセージを送るよう自民党の重鎮たちを説得するかもしれない。高市氏が、鉄の女サッチャー同様、タフで機略に優れていることを期待したい。
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国連憲章違反の中国
高市首相の国会答弁(台湾に対する中国の武力行使は日本の「存立危機事態」になり得るとの答弁)に対して、中国がその撤回を求め、対日強硬策を打ち出していることに関して、ミードがその見解を示したものである。高市首相の答弁に対し中国が抗議をするのは、中国の台湾に対する立場に鑑み、予想される反応であるが、中国はこれを契機に危機を作り出そうとしているとのミードの観察は当たっている。
