経営・人材の神髄
鈴木氏は、経営判断で一番大切にしていることを問われて「自分で考えることだね」と答える。 その真髄についてこう語る。
「限られた時間で情報を入手し、自分で考えて自分で判断するしかないんだ。責任はすべて 経営者の 自分が負う」
人材論についても 印象深いコメントがある。
「ツキのない奴は、ダメだ。麻雀と一緒。追いかければ追いかけるほど、ツキは逃げていく」「グローバル化が進む中では、明るい性格の奴が求められる。明るくアッケラカンとしている奴が、海外で活躍でき、やがてはツキを生む。理屈ばかりで暗い性格ではだめ」
カリスマ経営者として、鈴木氏にモノを言えないという雰囲気が社内にあった一方で、各地の販売関係者と交流する姿からは、「理と情」を使い分けるしたたかな経営者の顔がみてとれる。
時代を駆け抜けた経営者が発した強烈なスピリットは、読む者に大きな感慨を残す。自動車産業を取り巻く環境が劇的に変わりつつある今、これからのスズキがどうなっていくのか。鈴木修氏のスピリットを受け継いだ次代の経営者がどうかじ取りしていくのか注目したい。
