2025年12月18日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年12月17日

 日独両国は、拡大財政政策を採った。G7は政策協調の場としての役割を果たした。1980年代は、日米間で貿易、構造協議が行われた。為替も調整された。一部品目は、対米輸出自主規制措置も取らされた。

 日米協議は、米国の交渉圧力に国内は反発して大変だったが、今振り返ると日本経済の自由化、開放化のためには通らなければならない一つの過程だった。日本は必要な適応をした。貿易は着実に自由化され、世界経済は拡大し、発展した。

すべきはマクロ政策の調整

 今、最も欠落しているのは、米国等と中国の間でのマクロ政策の調整ではないだろうか。それは、財政、金融等のマクロ経済政策であり、貿易政策だ。

 経済の不均衡は、基本的に、マクロ的にしか解決できない。トランプ関税などミクロ措置では解決できない。トランプの政策は、それをやればやる程、米国経済はモンスターのように歪になり、市場から乖離し、競争力を失い、世界経済を不公平、不効率にするばかりだ。そして一方主義が横行する。

 リーマン・ショックの時には、中国も世界経済の崩壊阻止のために、米国との連携を通じて、積極財政措置を取ったではないか。必要であれば、為替調整もすれば良い。トランプ関税よりも余程理屈に合うし、市場歪曲も少ない。

 開放・自由な貿易・経済政策を守らなければ、サイズの変わらないパイの食い合いを続けるだけだ。例えば、20カ国・地域(G20)内に中国を入れた責任ある少数国のマクロ政策調整グループを立ち上げるべきではないだろうか。

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