先のウォーレン議員は、寡占を理由にNetflixによる買収を批判する主張に加えて、中東マネーによるパラマウントの買収も批判した動画を公開した。しかし、寡占を理由に反対する前半部分は極めて説得力があり、前半だけを切り取ってパラマウント支持に使えば強力なものになりうる代物である。
こうした背景もあり、トランプが寡占は国民のためにならないと唱えることで、正義のマントを羽織り、CNNを含んだパラマウントの買収案を支持することが可能な状況だ。ここにきて複数のメディアがもしパラマウントによる買収が成功した場合、トランプの嫌うCNNのニュースキャスターを解雇するといった会話が、トランプ側とパラマウント側でなされたと報じている。
この買収が認められるには、反トラスト法違反にならないか連邦政府による審査を経なければならず、トランプはボンディ長官率いる司法省がその任に当たるとした。ただ、ボンディ長官の中立性については疑問が残るだろう。それは、少女買春などの罪で起訴され自殺した米富豪ジェフリー・エプスタインの顧客リストが自分の机の上にあると述べていたにも関わらず、トランプが難色を示すと、そのようなリストは存在しないと否認した過去があるからである。
そのような経緯を考慮すると、独占を巡る司法省の判断も大統領の意向を反映したものになる可能性が高い。なにしろ合衆国憲法にあるように、米国の行政権は、日本のように内閣に属するのではなく、大統領一人に属しているのである。
トランプに権限が集中するのか?
ここにきて、我々は大統領が如何に大きな権限を持っているかに改めて気付かされる。規格外の大統領が現れ、思いもよらない形でその強大な権限を行使した時にどうなるのだろうか。もちろん、建国の父祖たちは議会が大統領を抑える仕組みを作っている。
ところが、これまた規格外の人気によって、トランプに反対すれば憎まれて敵対候補を立てられるという脅しが有効となり、議会の多数派である共和党議員の多くがトランプに表立って逆らえなくなっている。一方で、今その人気にも陰りが見え始めている。
引き続き大きな力をふるえるかは、中間選挙においてその人気を見せつけられるかにかかっている。次回中間選挙が極めて重要と考えられる所以である。
