2024年11月24日(日)

田部康喜のTV読本

2014年7月2日

 9曲目は、B’zの「You&I」。

 「Youは仕事だったり、恋人だったり、友人だったり、仕事だったりすると思うんです。いまは、壇蜜」

 壇は、居所がなかった自分に「壇蜜」という場が与えられ、それによって他人が喜んでくれるならうれしい、というのだった。

 人生の最期に聴きたい曲は、キリンジの「愛のCoda」である。

 「今はただ春をやり過ごすだけ」「地の果てで」という繰り返される歌詞に魅かれるという。

 「仕事をしているとやりきれないこともある。地の果てでやっていることで、ここでひとがよろこぶことをやっていれば、来世が期待できます」

下積み時代の心の痛み

 番組のこの夜の相手である、六角精児もまた、40歳代まで芝居に打ち込みつつも、下積み生活が続き、ギャンブルと4回もの離婚など、人生は決して幸せなものではなかった。

 アルバイトをしていたバーに度々遊びにきていた、デビュー前の森山直太朗の「さくら」が、彼が選んだ6曲目だった。

 「バーによくやってきていて、歌をやっているっていうんで、歌ってもらったんです。そこにいた全員が感動してしまって。僕は自分のギターをあげました」

 そして、地方公演で立ち寄った牛丼屋で、有線放送から流れる森山の歌声を聴く。それが「さくら」だった。

 「店のひとにヒットしているって教えられて」

 六角の心境は複雑だった。苦労していてもいつかは認められる日が来るんだと、森山の歌に励まされたのはもちろんだが、自分がいまだに下積みのままである心の痛みも襲ってきた。


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